糖尿病診療マスター 15巻1号 (2017年1月)

特集 糖尿病薬物治療のアドヒアランスを高める

  • 文献概要を表示

POINT

・治療実行度を表す述語としてアドヒアランスが用いられるようになった理由を理解すること.

・服薬アドヒアランスの測定法には直接法と間接法がある.それぞれ長所,短所がある.

・服薬アドヒアランスに関連する要因を理解し,良好な医師(医療者)-患者関係の構築をめざす.

  • 文献概要を表示

POINT

・高いエビデンスレベル.

・1粒で何度も美味しい効果.

・適切な患者選択と初期指導で安全使用.

  • 文献概要を表示

POINT

・SGLT2阻害薬は,療養行動を始める「きっかけ」の一つになりうる.

・「きっかけ」による患者さんの「こころ」の変化に気づき,起こってきた行動変容を継続できるかは,周囲の人の「かかわり」が大切である.

  • 文献概要を表示

POINT

・DPP-4阻害薬において,週1回製剤の血糖改善効果は毎日製剤と同等である.

・週1回製剤への嗜好は患者ごとに異なり,正確な情報提供のもと,患者自身に適した薬剤を選択していただくinformed choiceが大切である.

・週1回製剤はアドヒアランスの改善により良好な血糖管理と患者QOLの向上に寄与することが期待される.

  • 文献概要を表示

POINT

・SU薬は安全性の高い薬剤で,「低血糖」以外の有害事象がほとんどない.

・SU薬の使用は最少量にとどめる.

・作用時間が長く,作用が遷延するグリベンクラミドは使用しない.

  • 文献概要を表示

POINT

・メトホルミンは糖尿病治療のなかで重要な位置を占める経口血糖降下薬である一方,1日2〜3回と服用方法は複雑であり,服薬遵守の阻害要因となっている.

・服薬アドヒアランスと安全性を高めるためには,本薬の特徴に関して十分に患者指導を行うとともに,「服薬錠数を減らす」などの内服調整も重要である.

  • 文献概要を表示

POINT

・速効型インスリン分泌促進薬とαグルコシダーゼ阻害薬は食後血糖を改善させる.

・食後高血糖改善薬のコンセプトが患者に伝わると,糖尿病患者の服薬への受容度は高くなる.

  • 文献概要を表示

POINT

・インスリン抵抗性の強い糖尿病に対して効果的である.

・脂質代謝改善作用を有する.

・動脈硬化に対して予防的に作用する(IMT肥厚の軽減).

・浮腫・心不全を生じやすい.

  • 文献概要を表示

POINT

・GLP-1受容体作動薬はインスリンとは全く異なった薬剤である.

・GLP-1受容体作動薬の特性を患者に伝える.

・治療目標を共有する.

  • 文献概要を表示

POINT

・罹病期間が長くなるにつれインスリンが必要となる患者の割合は増えるため,インスリン治療を必要としない時期から将来の見通しについて情報を提供しておくことは重要である.

・医療者側の問題で適切なインスリン治療が開始されない場合があることを認識する必要がある.

・インスリン治療のアドヒアランスを改善するためには,患者さんとの良好な関係を築き,適切なコミュニケーションを行うことにより患者さんの考えを確認し,嗜好に沿った治療内容を選択することが重要である.

  • 文献概要を表示

運動療法内容

個人運動指導

 施設会員は自由に利用できる(月〜金曜9:00〜12:30,13:30〜17:00).いつ来てもよいし,時間制限もない.理学療法士とトレーナー(健康運動指導士)が常駐し,必要に応じて患者さんをサポートする.

Perspective◆展望

糖尿病…… 石井 均
  • 文献概要を表示

 日本糖尿病医療学研究会を開催して3年目を迎えた.会員数,学術誌,学術研究会開催など実績を積み重ね,2016年,日本糖尿病医療学学会に改名した.当初,志したことを守り,症例検討にほとんどの時間を費やしている.一題一題について,症例提示,参加者間のディスカッション,発言討論,コメンテーターの提言,という形式で進めている.短くて一題20分,長いものは40〜50分かけている.

 症例の内容は治療がうまく進んでいないケースが多く,そのなかに年数を経て治療が展開しだした例が含まれている.医学的なことのうえに,それ以外の患者の心理面や生活上の問題,医療者との関係の問題などが含まれていることが特徴である.

こんな時どうする!? 糖尿病患者によくみられる皮膚症状

  • 文献概要を表示

■内科医からのQuestion

 「外来受診中の患者さんに口唇粘膜のびらんを伴い,全身に水疱を伴った発疹がみられる方がいます.39℃台の高熱がみられます.水痘・麻疹・風疹の既往歴があり,それらは否定的と思われます.感冒症状に対し,7日前から抗菌薬,非ステロイド性解熱鎮痛薬を内服しています.どうしたらよいでしょうか?」

■皮膚科医からのAnswer

 「粘膜疹を伴う発疹症には,水痘,麻疹等ウイルス感染の他,マイコプラズマ感染症や溶連菌感染症,単純ヘルペス,薬剤内服後に続発する多形紅斑(erythema multiforme : EM)があります.また,薬剤(時にマイコプラズマ感染症後)が原因で重症の皮膚疾患であるStevens-Johnson syndrome(皮膚粘膜眼症候群;SJS)/中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis : TEN)を発症することもあります.SJS/TENの場合は失明などの後遺症を残すことがあり,またTENは死亡率が19%と高率であることから,早期の確定診断が必要となりますので,直ちに皮膚科へのコンサルトをお願いします.」

糖尿病患者の口腔健康管理 はじめの一歩・1【新連載】

  • 文献概要を表示

国レベルでの医療連携—糖尿病性腎症重症化予防の取り組み

 糖尿病性腎症重症化予防の取り組みを全国的に広げていくために,各自治体,郡市医師会が協働・連携できる体制の整備が必要であり,そのためには,都道府県レベルで,県庁などが県医師会と協力して重症化予防プログラムを作成し,県内の市町村に広げる取り組みを進めることが効果的であるとされています.そのような取り組みを国レベルでも支援する観点から,国レベルで糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定するために,「厚労省・日本医師会・日本糖尿病対策推進会議」の三者としての構成員である,塩崎恭久厚生労働大臣をはじめ,日本医師会 横倉義武会長(糖尿病対策推進会議会長兼任),日本糖尿病対策推進会議からは,門脇孝副会長(日本糖尿病学会理事長),清野裕副会長(日本糖尿病協会理事長),堀憲郎副会長(日本歯科医師会会長),ならびに今村聡副会長(日本医師会副会長)が一堂に会して,連携協力協定を2016年3月24日に締結しています.

 これは始まりであって,各地域での医療連携が進むことが望まれています.

糖尿病に効くコーチング 明日から始めてみませんか?・1【新連載】

  • 文献概要を表示

コーチングとの出合い

 私は1999年に糖尿病専門クリニックを開業しました.CDEの資格をもつスタッフとともに個別指導を強化すればきっと糖尿病管理はよくなるに違いないと思っていました.しかし,当初は考えていたほど血糖コントロールは改善しませんでした.指導の方法,対象者の選定,薬の使い方を工夫し,数年後に平均HbA1c 7%以下を達成し,やっと成果をあげることができたと一瞬喜びましたが,それは自己満足に過ぎないことに気づきました.なぜなら,患者さんの態度が変わっていなかったのです.それは,相変わらず言い訳で始まり,最後は「がんばります」と言って診察室を後にする患者さんの姿でした.私たちがもっとコントロールをよくしようとがんばればがんばるほど,その傾向はさらに強くなるようでした.患者さんの行動変容を促すにはどうすればよいのか,患者さんをエンパワメントするにはどうすればよいのか,それがその頃の私の課題でした.そんななかで出合ったのが,コーチングでした.

 私がコーチングを学び始めて,まだうまくスキルを使いこなせない時のことです.コーチングで学んだ相手との接し方,すなわち相手を変えようとするのではなく,私自身が相手を理解しようと関心をもって接するやり方を実践してみたところ,患者さんの態度が変わり,行動変容が起こり始めたのでした.「コーチングはすごい」というその時の感動を,今でもはっきりと覚えています.まさに私にとって,エンパワメントを実践するツールが手に入ったような気持ちでした.

  • 文献概要を表示

 加糖飲料は肥満や多くの冠動脈疾患と関連していることが以前から知られていました.そのため,WHOは健康状態の改善のために,加糖飲料へ課税し,それらの飲料を高額に設定して摂取量を減らすように各国に呼びかけてきました.企業が出資している研究を除いては,多くの研究でカロリーのある飲み物を飲む際にヒトは食事量を減らそうとしないことがわかっています.カロリーの帳尻合わせが行われない理由として,これまでの研究では2種類のホルモン,グレリンとインスリンによる影響と考えられています.グレリンは食欲亢進ホルモンで,通常は血糖値の上昇とともに分泌が抑制されますが,一部の加糖飲料では抑制されないのです.したがって,加糖飲料の摂取を減らすことは,体重を減らし,心血管系の問題を軽減することにもつながります.

糖尿病診療トレーニング問題集

内科医レベル 森 孝之
  • 文献概要を表示

症例 49歳,男性.

主訴 特になし.

  • 文献概要を表示

 「医療現場をこれほどまでに赤裸々に,リアルに書いていいものだろうか」という驚きがこの本を読んで生じた感情だった.いてもたってもいられず,本書の書評を書かせてほしいと出版担当者にお願いしてしまった.「医師はいかなる時も平静の心を持って患者と向き合うべきである」と説いた臨床医学の基礎を作ったウィリアム・オスラー先生の「平静の心」を揺るがす内容なのである.

 「医師は患者に必要以上に感情移入してはいけない」

購読申し込み書

バックナンバー

本誌の編集体制

次号予告

基本情報

13478176.15.1.jpg
糖尿病診療マスター
15巻1号 (2017年1月)
電子版ISSN:1347-8389 印刷版ISSN:1347-8176 医学書院

文献閲覧数ランキング(
7月8日~7月14日
)