糖尿病に効くコーチング 明日から始めてみませんか?・1【新連載】
糖尿病コーチングのすすめ
大石 まり子
1
1(医)大石内科クリニック
pp.72-75
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200592
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コーチングとの出合い
私は1999年に糖尿病専門クリニックを開業しました.CDEの資格をもつスタッフとともに個別指導を強化すればきっと糖尿病管理はよくなるに違いないと思っていました.しかし,当初は考えていたほど血糖コントロールは改善しませんでした.指導の方法,対象者の選定,薬の使い方を工夫し,数年後に平均HbA1c 7%以下を達成し,やっと成果をあげることができたと一瞬喜びましたが,それは自己満足に過ぎないことに気づきました.なぜなら,患者さんの態度が変わっていなかったのです.それは,相変わらず言い訳で始まり,最後は「がんばります」と言って診察室を後にする患者さんの姿でした.私たちがもっとコントロールをよくしようとがんばればがんばるほど,その傾向はさらに強くなるようでした.患者さんの行動変容を促すにはどうすればよいのか,患者さんをエンパワメントするにはどうすればよいのか,それがその頃の私の課題でした.そんななかで出合ったのが,コーチングでした.
私がコーチングを学び始めて,まだうまくスキルを使いこなせない時のことです.コーチングで学んだ相手との接し方,すなわち相手を変えようとするのではなく,私自身が相手を理解しようと関心をもって接するやり方を実践してみたところ,患者さんの態度が変わり,行動変容が起こり始めたのでした.「コーチングはすごい」というその時の感動を,今でもはっきりと覚えています.まさに私にとって,エンパワメントを実践するツールが手に入ったような気持ちでした.
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