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□糖尿病療養指導士としての臨床検査技師の役割
世界的な糖尿病患者・予備軍の人口増加傾向は,医療コストを増加させるのみならず,医療サービスさえも破壊しうる勢いであり,今後,医療チームで糖尿病治療(療養)に参画することはますます重要になってきます.今までわれわれ臨床検査技師は,医療のなかではいわば「縁の下の力持ち」的(?)な存在で,検査データの迅速性と正確性をともすれば“マニアック”なまでに追求してきました.糖尿病療養指導士としての臨床検査技師の役割分担は「継続自己管理の意味づけ」,「療養指導の計画づくり」,「療養指導の評価」などチーム共通分担のほかは,「血糖自己測定」となっております1).しかし,糖尿病は「検査からはじまる検査の病気」とさえ言われており,糖尿病の診断,病態チェック,そしてコントロールと検査(検体,生体検査)は欠かせません(BOX 1).ある意味,われわれ臨床検査技師が,最もチームに参画しやすく,力を発揮できるのではないかと考えます.患者と直接触れ合う療養指導ではデータ結果と患者を結びつけ,患者のひととなりに触れ,検査方法や結果の解釈の説明(数値,波形)を理解しやすく,それぞれの患者に合わせた工夫をすることによって,療養行動の変化に反映され,エンパワーメントの糸口が開かれることがあります.患者を通して学ぶこと,ほかの職種の役割を実感すること,これはまさしくチーム医療の醍醐味です.検査室のなかにいるだけにとどまっている臨床検査技師の1人でも多くが,糖尿病療養指導士としてチームに参画し,活躍することを願います.しかし,われわれ臨床検査技師が受験に必要な10症例の自験例をまとめあげるのは,決して容易な作業ではありません.今回の2症例が,糖尿病療養指導士を目指す臨床検査技師の一助となればと思います.なお,HbA1c値は,すべてJDS値で表記しています.
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