糖尿病診療マスター 14巻12号 (2016年12月)

特集 実践!血糖モニタリングとインスリンポンプ—CGM・SMBG・SAPなど

Ⅰ血糖モニタリングシステムの進歩

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POINT

・現在,使用することが可能なCGM機器は,レトロスペクティブCGM,リアルタイムCGMと,sensor augmented pump(リアルタイムCGM+インスリンポンプ)に分類される.

・今後,CGMで用いる新たな測定方法として,糖と結合すると蛍光強度が変わる色素の使用や,皮膚に赤外線などの光を照射し血糖値を測定する方法など,さまざまな可能性が検討されている.

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POINT

・AGPは頻回測定した血糖データの分布を1日の血糖変動カーブに集約して図示する手法であり,血糖の日内変動や日間変動を視覚的に把握することができる.

・FGMは皮下に留置されたセンサーが記録する間質液グルコース濃度の連続データを,リーダーをかざすことで非接触的に読み取る技術で,SMBGによる補正を必要としない.

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POINT

・遠赤外光を使えば,高精度な非侵襲血糖測定が可能となる.

・角質がない唇の粘膜を測定対象とすることで感度が向上する.

Ⅰ血糖モニタリングシステムの進歩 コラム

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POINT

・テクノロジーが進歩しても,その血糖測定値がどうして得られたのかをretrospectiveに考察しなければ血糖コントロールが改善しない状況には変わりない

・膨大な数値の中から臨床的に意味のある情報を見いだせるかがCGM/FGMのポイント,意味のある測定タイミングを指示できるかがSMBGのポイントではないか

Ⅱ血糖モニタリングとインスリンデリバリーシステムの融合がもたらす進歩

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POINT

・現在のSAP療法では,低血糖でも注入が止まらない.

・closed-loop insulin pumpでは,MPCアルゴリズムが有用である.

・MPCアルゴリズムにより,多彩な食事摂取後の血糖管理が容易となることが見込まれる.

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POINT

・SAPの導入は患者の理解度に合わせることが重要.

・センサの上手な活用方法を指導する.

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POINT

・SAP療法による治療の高度化に伴い,多面的な患者サポート体制の確立が望まれる.

・CGMデータ解析システムの活用は,血糖コントロールの改善に寄与しうる.

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POINT

・CGMモニターはできる限りこまめに確認する.

・追加インスリンは血糖上昇起点で打つ.

・血糖上昇のピーク〜下降開始時の追加インスリン投与は,その後の低血糖と補食による体重増加につながる恐れがある.

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 昨今の医療技術の進歩には目を見張るものがあります.糖尿病に関連した領域においても,CGM(continuous glucose monitoring)に代表される血糖モニタリングや,インスリンポンプなどのインスリンデリバリーシステムに関する技術は日々進歩しており,多くの患者さんがその恩恵を受けています.最近では血糖モニタリングとインスリンデリバリー技術を融合させたシステムも利用可能となっています.こうした技術の進歩は,疾患に対する理解を助けたり,血糖コントロールの改善に役立ったりするだけでなく,患者にとって大きな希望ともなっています.糖尿病療養指導に携わるわれわれには,こうした技術の進歩について十分に理解し,日常診療のなかで適切に情報提供を行いながら,有効に活用していくことが求められています.

 本特集では,まず血糖モニタリングシステムの進歩について,持続血糖モニタリングの先駆者的立場から,CGMの有効活用と今後の展望について西村理明先生にoverviewをお願いしました.鈴木 亮先生にはこれから注目度が急上昇すると思われるflash glucose monitoring(FGM),ambulatory glucose profile(AGP)につきまして解説をお願いしました.FGM,AGPは血糖モニタリングがまた一つ新しい時代に入ったことを感じさせるものです.今後はさらに「侵襲のない」血糖値測定法の開発が進んでいくものと思われますので,非侵襲センシングの現状と展望について,松浦祐司先生に解説をお願いしました.2015年3月には,加圧ガスを使うことにより,知覚できない形で皮膚組織に穴をあけて血糖を測定する方法を米Googleが特許申請したとのニュースが流れましたが,非侵襲センシングの進歩も患者さんに大きな希望を与えるものです.

こんな時どうする!? 糖尿病患者によくみられる皮膚症状

糖尿病治療薬による薬疹 末木 博彦
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■内科医からのQuestion

 「2型糖尿病の60歳台の女性です.経口薬をグリメピリドからカナグリフロジンに変更したところ,5日後に顔面,前胸部,上背部に半米粒大の小紅斑もしくは丘疹が出現しました.皮疹への対処法とカナグリフロジンを中止する必要性は?」

糖尿病診療トレーニング問題集

内科医レベル 堀川 敬
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症例 80歳,男性.

主訴 糖尿病の精査・治療目的で他医からの紹介.

専門医に訊くCommon Disease最新の知識

慢性甲状腺炎 永井 聡
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Question①

機能異常のない症例のフォローはどのようにするべきなのでしょうか.

Answer①

 機能異常のない症例では,半年〜1年に1回定期的に血液検査を行い,若年者で経過中のTSH値に変化がなければ検査の間隔を延ばすことも可能ですが,体調に変化があった際や妊娠した時にはすぐに来院していただくように伝えます.

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 腸内細菌が肥満や心血管代謝疾患と関連があると示唆されてきています.無菌マウスが,食事性肥満にならないことや,若干の炎症を呈しており,耐糖能も低下していることや,便移植により腸細菌を投与すると体重やインスリン感受性が変化することが,げっ歯類動物や人間でも示されました.腸内細菌叢は,プレバイオティクスや抗菌薬により変化し,腸内細菌からつくられる胆汁酸,短鎖脂肪酸も変化しえます.特に,生まれて早期の抗菌薬投与は代謝障害をきたしやすいとされていますが,これらは主に動物実験のレベルです.ヒトでのエビデンスはまだ乏しい現状です.少数の肥満者に抗菌薬投与でインスリン感受性が改善することが示されましたが,プラセボ投与の二重盲検ではありません.この論文では,二重盲検ランダムコントロール試験で行われました.

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 日本で「医学教育の国際認証評価時代」の動きが本格的に始まってきている2016年2月に,待望の『内科診断学 第3版』が発刊された.8年ぶりに大幅改訂された中身を見て,まさにこのテキストは医学科1年生からの臨床実習前教育から診療参加型臨床実習時,さらには生涯教育まで,すなわち初学者から指導医まで,症候・病態ベースで統合すべき日本の医学教育改革を実現化するバイブルと言えるテキストであり,内科系のみではなく,全国の全ての医学生,医学部教員,医育にかかわる機関の各科指導医の皆さんにお勧めしたい一冊であることを実感した.

 その理由としては,1)始めの「診断の考え方」(第Ⅰ章)と「診察の進め方」(第Ⅱ章)で医療面接における情報収集スキルの重要性と臨床推論のエッセンス(検査前確率,尤度比など)と信頼を確立するために必要なコミュニケーションスキルなどについて,カラー図表が駆使されて初学者でもわかりやすくまとめられていること,2)続いての「症候・病態編」(第Ⅲ章)で,発熱,全身倦怠感,めまい,頭痛,胸痛から精神領域の救急まで,何科の医師としても実践対応が可能になるよう修得すべき約100の必須症候・病態について,患者の訴え方,医療面接,身体診察,確定診断のポイントなど臨床各分野横断的な統合教育を展開するために適した内容で,幅広く網羅されていること,3)購入者は,本文を収載した付録電子版も利用でき,いつでもどこでもネットを介して読むこともできるようになったことが挙げられる.特に,1)2)については,医師の資質・人間力を養う「プロフェッショナリズム教育効果」も高く,この観点からも有用であることを強調しておきたい.

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 近年,専門分野に偏らず,全体的な視点から診療ができるジェネラリストのニーズが高まっている.皮膚の視診は,ジェネラリストにとって多くの情報をもたらしてくれるので,診断確定までのプロセスにおいて重要なウェイトを占める.また,皮膚病変は診察の際に必ず目に入るので,皮膚疾患の診断方法は,ジェネラリストに限らず全ての医師にとって,押さえておかなければならない重要なポイントである.

 この本を読んだとき,“とにかくわかりやすい”と思ったのが第一印象である.通常の写真だけでなく,拡大写真やイラストが並べて提示されており,ビジュアルに訴える解説書となっている.また,“そういえば,これ見たことあるけど,何だろう?”と思うような皮膚疾患や,専門医への速やかな紹介が必要なケースなどがうまくまとめられている.ページの上には,頻度と緊急度が,1〜5つまでの星の数で示されており,実用的である.診断プロセスについても,“患者から聴取すべきことは?”“この症例をどう解釈する?”“検査は?”“鑑別診断は?”“治療は?”と,問い掛け方式で項目ごとに簡潔に記されており,短時間でポイントがつかめるように構成されている.さらに,患者への説明方法や,皮膚科専門医へのコンサルトのこつが触れられているのもうれしい.末尾には,「TIPS !」として,全体のまとめが箇条書きで示され締めくくられている.一つの皮膚疾患に対して,解説が見開き2ページにまとめられているので,ページを開けばすぐに調べることができる.つまり,“これだけは押さえておきたい皮膚疾患”が,実にコンパクトにまとまっているのである!

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 臨床研究をするに当たりどの統計手法を使うべきなのだろうか? 論文を読むたびに目にする統計手法は正しい手法なのだろうか? それぞれの統計解析の意味はいったい何なのだろう?——論文を読む際,また自分自身が臨床研究をするに当たって,このような疑問を感じたことはありませんか.私がそのような疑問を抱えた時に巡り合ったのが,2011年に新谷歩先生が週刊医学界新聞に寄稿された「今日から使える医療統計学講座」シリーズでした.

 統計学の教科書をひもとくと,一つ一つの統計解析に関して解説が詳細に述べられていますが,臨床研究をするに当たりどのように統計テストを選択していくかを解説しているものは非常に少ないと感じます.

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糖尿病診療マスター
14巻12号 (2016年12月)
電子版ISSN:1347-8389 印刷版ISSN:1347-8176 医学書院

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