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資料
自然災害被災者のPost-traumatic Growthに関する文献レビュー
A literature review on Post-traumatic Growth for natural disaster survivors
岡田 ゆみ
1
Yumi OKADA
1
1広島国際大学看護学部
1Faculty of Nursing, Hiroshima International University
キーワード:
自然災害
,
PTG
,
被災者
,
natural disaster
,
post-traumatic growth
,
survivors
Keyword:
自然災害
,
PTG
,
被災者
,
natural disaster
,
post-traumatic growth
,
survivors
pp.16-25
発行日 2018年6月30日
Published Date 2018/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7009200291
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Ⅰ.緒言
本研究では、自然災害被災者の心的外傷後成長に関するテーマを扱う。過去半世紀のわが国の災害の事例から、自然災害が多いことが指摘されている(高橋ら,2015)。この自然災害は、予期せぬなかで、時に甚大な被害に及ぶこともあり、多くの人びとの生命や生活が危機的状況に陥ることもある。また、このような出来事は被災者にとって耐えがたい苦しみの体験につながる可能性がある。
人は苦しみの体験から、ネガティブな心理的影響を受けやすい。被災時に想定される急性ストレス障害(ASD:Acute Stress Disorder)や心的外傷後ストレス障害(PTSD:Posttraumatic Stress Disorder)などもその一つと言えるだろう。その一方で、この苦しみの体験から生ずることのある「こころの成長」は、あまり知られていないように思われる。近年提唱された概念にPTG(post-traumatic growth)がある。PTGとは、宅(2016a)により“「トラウマティック」な出来事、すなわち心的外傷をもたらすような非常につらく苦しい出来事をきっかけとした人間としてのこころの成長を指す(Tedeschi et al., 1996)”と紹介されている。このようなPTGの存在は、必ずしも苦痛を減じたりウエルビーイングを増すものではないが、人生をより豊かに充実して意味深く生きることができるようになるという示唆もある(Calhoun et al., 2006/2014)。PTGは、周囲や社会が期待するものではないが、私達が人の心の理解を深めていく上で重要な概念と考えられる。
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