日本看護医療学会雑誌 17巻1号 (2015年6月発行)

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保健師の人間関係形成能力と職務経験の関連性原田　春美 , 小西　美智子 17巻1号 , 2015年6月 , pp.1-11

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要約

　本研究の目的は、支援の仕組みづくりにおける保健師の人間関係形成能力の構成概念と構造、職務経験の影響と発達の特徴を明らかにすることである。市町村所属保健師202名に職務経験と人間関係形成能力に関する質問紙調査を行った。人間関係形成能力の構成概念と構造の分析には探索的因子分析と共分散構造分析を、経験年数の影響の検討には一要因分散分析を用いた。探索的因子分析等の結果、支援の仕組みづくりにおける保健師の人間関係形成能力の構成概念は、［どんなこともきっかけにする］［専門知識・技術を活用する］［思いややり方を受け入れる］［潜在能力や健康な側面に着目する］［冷静で毅然とした行動をする］［心的距離を調整する］［他者を巻き込む］［エンパワーメントする］［具体的にサポートする］［関係を取り持つ］であった。共分散構造分析によるパス解析の結果では、これらの能力は経験年数や経験の多様性の影響を受けていた。一要因分散分析の結果では、ほとんどの能力の得点は経験の長さに比例して高くなっていた。

資料

看護学生の臨地実習における学習活動自己評価の実態と教授活動藤田　三恵 , 吉川　峰子 , 蔵屋敷　美紀 17巻1号 , 2015年6月 , pp.12-20

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要旨

　【目的】1．看護学生の領域別臨地実習における学習活動の実態把握。2．領域別実習開始直後と終了時における学習活動自己評価の比較。【研究方法】Ａ看護短期大学3年次生64名を対象とし、中山らが開発した学習活動自己評価尺度（SLAC）を使用し、領域別臨地実習開始直後および全実習終了後の2回にわたり調査した。調査票は35項目で構成され、「非常に当てはまる」を5点、「あまり当てはまらない」を1点の5件法にて調査した。分析方法は、各項目の平均点をt検定にて分析した。【結果・考察】実習開始直後および終了後の平均点の比較では、4.2点以上の高得点を示した項目は、実習開始直後は6項目であったが、終了後は16項目見られた。実習開始直後および終了後のいずれも得点が高かったのは、Ⅱのカテゴリーの2項目であった。実習開始直後の平均点が全体的に低かったカテゴリーは、Ⅳ、Ⅵのカテゴリーであった。看護学生は、実習全過程を通して、対象である患者を理解しようとする行動や、患者理解への態度については熱心に取り組もうとしている状況が伺える。しかし、他の看護師や教員から模範を見出そうとしたり、他者に助けを求める行動がとりづらくなっていることが推察され、相談をしやすい環境づくりが重要である。

痛み治療を継続するために外来通院するがん患者が直面する困難と取り組み平岡　玲子 17巻1号 , 2015年6月 , pp.21-32

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和文抄録

　本研究の目的は、外来で痛み治療を受けているがん患者の困難と取り組みの状況を明らかにすることである。がんの痛みにより通院で痛み治療を受けている12名を対象に、面接調査法を用いてデータ収集し、質的帰納的に分析した。その結果、がん患者が直面する困難は、【痛み治療を一部担う困難】【がん治療を並行して受ける困難】【痛みの存在による活動の困難】【痛みの存在により家族関係が変化する困難】の4つが、取り組みは、『専門医を信頼し治療を任せる』『鎮痛薬使用の判断と副作用の調整を行う』『痛みの出現や増強を予防する』『必要なサポートを判断する』『気持ちを働かせる』『がん治療と痛み治療を上手く並行させる』『自分の状況を肯定的に受け止める』の7つが抽出された。困難への取り組みは、患者自身の体験や専門家から提供される知識をもとに行われていたが、痛み治療を効果的にし、がん治療を良好な状況で受け、自分らしい日常生活を送るために必要な取り組みであった。これらの取り組みを可能にしていたのは、信頼できる専門家と家族の存在であり、看護の役割としては、知識や援助ケアの提供に加え、同じ目標に向かうパートナーとして患者に寄り添える存在となることが重要だと考える。

看護学生の自己健康管理モニタリング測定尺度の開発と信頼性・妥当性の検証成瀬　早苗 , 上野　栄一 17巻1号 , 2015年6月 , pp.33-42

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要旨

　【目的】本研究は、看護学生の自己健康管理モニタリング測定尺度を開発し、その信頼性・妥当性を検討する。

　【対象・方法】看護学生1,056名を対象として、121項目5段階のリッカート法質問紙調査を行った。

　【結果】主因子法プロマックス回転にて因子分析を行った結果、7因子30項目の因子解が抽出され、「就学態度の自律力」、「対人関係の健全力」、「思考の健全力」、「食生活の健全力」、「対処行動能力」、「身体変調の注意力」、「予防行動力」と命名した。全体のCronbach α係数は.914、各因子は.705〜.875であり、G-P分析・I-T分析、基準関連妥当性も検討し、信頼性・妥当性は確認できた。

　【結論】本尺度は簡便に測定でき、繰り返し評価することで健康管理の指標として活用できる。今後は、看護以外の学生にも使用できる尺度を検討し、青年期における自己健康管理能力を向上させる一助としていく必要がある。