JIM 10巻4号 (2000年4月発行)

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特集　いつ内分泌疾患を疑うか

甲状腺機能亢進症（グラーベス病）石澤　晋 10巻4号 , 2000年4月 , pp.296-299

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●落ち着きのなさ，発汗，動悸

●頻脈，汗ばんでじっとりした皮膚

●全体に腫大した甲状腺腫，上眼瞼が後退した鋭い目つき

●TSH低値，FT₃＆／or FT₄高値

●¹³¹I摂取率高値

甲状腺機能低下症石澤　晋 10巻4号 , 2000年4月 , pp.300-302

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？？？　ここで疑ってみよう

●冷たくザラザラと乾燥した皮膚

●浮腫状の顔とへこまない下腿浮腫

●体重増加とにぶい動作

●便秘で寒がり

●FT₄とヨード摂取率の低下

●TSHの上昇（原発性の時）

慢性甲状腺炎（橋本病）谷山　松雄 10巻4号 , 2000年4月 , pp.303-306

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●びまん性甲状腺腫

●甲状腺機能低下症

●膠質反応高値

●抗サイログロブリン抗体陽性

●産後の甲状腺中毒症

●バセドウ病の既往

亜急性甲状腺炎・急性化膿性甲状腺炎谷山　松雄 10巻4号 , 2000年4月 , pp.307-309

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亜急性甲状腺炎

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●前頸部から下顎部の自発痛

●甲状腺の圧痛

●硬い甲状腺腫

●発熱

●赤沈元進

●超音波で低吸収領域

甲状腺腫瘍福成　信博 10巻4号 , 2000年4月 , pp.310-313

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●甲状腺結節の触知

●疼痛

●嗄声

●嚥下障害

●咳や呼吸状態の変化

●機能冗進症状（頻脈，多汗，体重減少など）

副甲状腺機能亢進症池田　佳史 , 高見　博 10巻4号 , 2000年4月 , pp.314-316

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●血清カルシウム値の上昇

●尿路結石

●骨・関節痛

●超音波による腺腫の確認

●血清PTH値の上昇

●骨量の減少

副甲状腺機能低下症和田　修幸 , 杉野　公則 , 高見　博 10巻4号 , 2000年4月 , pp.317-319

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●口唇周囲や指先のしびれ

●横隔膜，胸腹筋，背筋の攣縮

●不随意運動，記憶力低下，無気力

●白内障，歯牙のエナメル形成不全

●Chvostek徴候，Trousseau徴候

下垂体前葉機能低下症肥塚　直美 10巻4号 , 2000年4月 , pp.320-322

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●易疲労性，低血圧（ACTH分泌不全）

●耐寒性の低下，便秘，顔のむくみ，皮膚乾燥および脱毛，精神機能低下（不活発）（TSH分泌不全）

●無月経または性欲の低下，腋毛，恥毛の脱落，性器萎縮，乳房萎縮（LH,FSH分泌不全）

●小児においては成長率の低下，筋力低下（GH分泌不全）

●産後の乳汁分泌低下（プロラクチン分泌不全）

先端巨大症肥塚　直美 10巻4号 , 2000年4月 , pp.323-325

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●四肢末端の肥大と末端肥大様顔貌（前額部お　よび下顎の突出，鼻翼，口唇の肥大，巨大舌など）

●上記の症状の軽微なうちに本症を疑い，血中成長ホルモン（GH），IGF－1（ソマトメジンC）を測定する

無月経・乳汁漏出症候群遠藤　芳広 10巻4号 , 2000年4月 , pp.326-328

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●無月経・乳汁漏出・不妊を訴える女性

●腫瘍に伴う症状としての頭痛，視力・視野障害

●高プロラクチン血症

先天性副腎皮質過形成柳川　達生 10巻4号 , 2000年4月 , pp.329-333

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●副腎不全症状，電解質異常

●外性器異常

●低レニン性高血圧

●色素沈着

●月経異常，不妊，座瘡，多毛

●性早熟，低身長

クッシング症候群柳川　達生 10巻4号 , 2000年4月 , pp.334-337

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●満月様顔貌，中心性肥満（体幹部への脂肪沈着，細い四肢）などの特徴的な身体所見

●皮下溢血，紫紅色で幅の広い（5mm以上）皮膚線条●高齢者の治療抵抗性高血圧，糖尿病

●若年者の脊椎圧迫骨折

●無月経，痙瘡，多毛，男性化

●末梢血好酸球数減少（50／μ1以下），低K血症，代謝性アルカローシス

インスリノーマと低血糖一般島田　朗 10巻4号 , 2000年4月 , pp.338-340

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●発汗，振戦，頻脈

●空腹感

●めまい，頭痛

●運動巧緻障害

●痙攣，昏睡

●ブトウ糖投与で血糖値の回復とともに症状も改善する

尿崩症中村　嘉夫 , 越山　裕行 10巻4号 , 2000年4月 , pp.341-344

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●症状：口渇，多飲，多尿

●検査所見：低張尿，血清Na, BUN，尿酸の軽度高値

アジソン病・副腎クリーゼ西川　哲男 10巻4号 , 2000年4月 , pp.346-349

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？？？　ここで疑ってみよう

●全身倦怠

●体重減少

●色素沈着

●腹部症状（腹痛，下痢，便秘）

●精神症状（ノイローゼ，うつ病，無関心，無感動，立ちくらみ，めまい）

原発性アルドステロン症西川　哲男 10巻4号 , 2000年4月 , pp.350-352

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？？？　ここで疑ってみよう

●高血圧

●副腎腫瘍

●低レニン性高アルドステロン血症

●低カリウム血症

●代謝性アルカローシス

褐色細胞腫石原　隆 10巻4号 , 2000年4月 , pp.353-355

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？？？ここで疑ってみよう

●不安定な高血圧（持続性，発作性），糖尿病を合併した高血圧

●頭痛・動悸・発汗週多・顔面蒼白など多彩な症状の合併

●副腎腫瘍（大きい）

●甲状腺髄様癌（Sipple症候群），原発性副甲状腺機能亢進症

痛風山中　寿 10巻4号 , 2000年4月 , pp.356-359

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●下肢関節の急性関節炎またはその既往がある

●20歳以上の男性である

●検診時で高尿酸血症を指摘されている

●尿路結石の診断を受けている

●最近，体重が増加している

One more JIM 石澤　晋 , 谷山　松雄 , 福成　信博 , 池田　佳史 , 和田　修幸 , 肥塚　直美 , 遠藤　芳広 , 島田　朗 , 中村　嘉夫 , 石原　隆 , 山中　寿 10巻4号 , 2000年4月 , pp.360-363

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　Q1　グラーベス病は自律性（autonomous）　を持っているのですか．

　A　グラーベス病は自律性を持っていません．自己免疫機序によりTSH-R―Abができ，これがTSH受容体を介して甲状腺ホルモンを過剰に分泌し続けます．すなわち，TSHではなくTSH-R-Ab依存性であり，甲状腺自体がホルモンを自動的に分泌するわけではありません．これに対して，プランマー病や中毒性多発甲状腺腫には刺激物質はなく，自分自身でホルモンを作り続ける自律性を持っています．

外来で見逃された症例―あなたの診断は？・19

旅行後に出現した左下肢の腫脹馬杉　綾子 , 生坂　政臣 , 亀谷　学 10巻4号 , 2000年4月 , pp.293,390

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　症例：76歳，女性．熱海へバス旅行に出かけたが，帰路は渋滞に巻き込まれた．帰宅翌朝より左足の腫脹感が出現し，その日のうちに左下肢全体に及び，3日たっても改善しないため当科を受診した．下肢の自発痛，胸痛，呼吸困難はない．既往歴に高血圧があり内服加療中である．来院時の身体診察では，血圧140／70mmHg，脈拍72回／分・整，体温36.6℃．頭頸部および胸腹部に異常所見なし．左下肢には発赤および熱感を伴う非圧痕性のびまん性腫脹を認める（図1）．Homans徴候は陰性で，足背動脈，後腓骨動脈は触知可能であった．

外来治療のトピックス

高血圧治療薬の進歩により高血圧の合併症は減少したか笹栗　学 , 荒川　規矩男 10巻4号 , 2000年4月 , pp.366-369

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　◆高血圧の合併症の発症率は降圧薬の進歩により減少してきた．しかしまだ道半ばである．その上に，今後は糖尿病や高脂血症などの高血圧以外の危険因子の重要性も増してきつつあり，総合的なコントロールが必要と考えられる．

再評価後の漢方治療入門―もう一度随証治療・16

男性不妊と女性不妊（その3）―補中益気湯と当帰芍薬散，桂枝茯苓丸坂口　佳司 10巻4号 , 2000年4月 , pp.371-374

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当帰芍薬散・桂枝茯苓丸（承前；前号より続く）

　3）現代における当帰芍薬散，桂枝茯苓丸の研究

　山崎らは，挙子希望で受診した1,818例に対し各種治療を行い，妊娠した522例のうち，53例が当帰芍薬散と桂枝茯苓丸を中心にした処方の投与で妊娠に至ったことを報告している．これらの患者は，主として機能性不妊症に属するもので，これらの症例は他の治療法では効果を認めず，漢方投与後初めて妊娠に至ったとしている^1）．

　安井ら^2）は，排卵障害による不妊症例に対して，クロミフェン単独療法（52例）とクロミフェン・当帰芍薬散併用療法（41例）の比較検討を行った．排卵率には両者の間に差はなかった．妊娠率についても有意差はみられなかったものの，併用群で高い傾向があった．妊娠した時期を比較すると，併用群で有意に早く妊娠が成立しており，排卵したものの妊娠に至らない症例について，併用療法により妊娠に至る可能性が示唆された．

遺伝カウンセリング・9

アレルギー性疾患の遺伝相談藤村　聡 , 福井　次矢 , 榎本　雅夫 , 塩田　浩平 10巻4号 , 2000年4月 , pp.375-377

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　【症例】子どものいない20歳代の夫婦が，将来生む予定の子どものアレルギーについて相談の目的で来院した．夫婦ともに小児喘息の既往があり，現在はどちらもスギ花粉症に罹患している．自分たちの子どもも同じようにアレルギー性疾患に悩まされることにならないだろうかとの質問であった．

研修医読本―臨床の秘伝・奥義を学ぶ・4

"感冒"の患者に急性肝炎がひそんでいる小宅　映士 10巻4号 , 2000年4月 , pp.378-379

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教訓・鉄則

1）急性肝炎の初期症状は感冒と紛らわしく，注意深い問診と理学所見が重要です．

2）問診では尿の濃色化が重要で，疑わしい場合は迷わず血液検査をします．

3）劇症肝炎の早期発見・早期治療のためにも急性肝炎の早期診断は重要です．

聖路加国際病院Terminal Care Conference・9

精神分裂病のある進行期肺癌の59歳男性鯉沼　代造 , 日比　祐一 , 櫻井　健司 , 蝶名林　直彦 , 池田　真人 , 大蔵　暢 , 川名　典子 , 西田　知佳子 , 西崎　統 , 井部　俊子 , 青島　正大 , 市丸　みどり , 岡田　定 10巻4号 , 2000年4月 , pp.381-389

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◆本症例の問題点◆

　1．白血球減少時という危険な時期に無断外泊に至った患者の行動をどう評価するか．

　2．今後の治療方針は．

JIM臨床画像コレクション

口腔カンジタ症瀬野　悟史 , 榎本　雅夫 , 宮木　康夫 , 藤村　聡 10巻4号 , 2000年4月 , pp.390

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　カンジダ症はカンジダ属に起因する感染症であり，局所的，全身的にみられる疾患である．カンジダ症は真菌症全体の中でも発生頻度は最も高く，近年増加傾向にある．とくに消化管，呼吸器，腎・尿路系に発生しやすい．本例はカンジダ属の中でも最も頻度が高いCandida albicansによるものである．しかし，近年原因菌種も多様化し，C．tropicalis, C．　ParaPsilosis, C．　krusei, C．glabrataなども増えつつある．

　症例は47歳，男性．アルコール性肝硬変とそれに伴う腎障害を有するcompromised hostで，治療中に口腔カンジダ症を発症した．左図は，初診時の口腔内所見である．軟口蓋，硬口蓋，舌表面に発赤を伴う白苔が観察される．この段階で口腔内真菌症を疑うことは容易であり，鏡検および培養検査で真菌の存在を証明し，確定診断がつく．右上図には，喀痰疾より観察されたC．albicansの光顕像を示した（コーンミール寒天培地，200倍）．C．albicansに特徴的な仮性菌糸とその先端に楕円形の厚膜胞子が観察される．右下図に，パパニコロウ染色を行ったC．albicansを示した（500倍）．本体より発生した仮性菌糸および楕円形の厚膜胞子が染色され観察される．

基本情報

JIM
10巻4号
(2000年4月発行)

電子版ISSN：1882-1197 印刷版ISSN：0917-138X 医学書院

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