JIM臨床画像コレクション
口腔カンジタ症
瀬野 悟史
1
,
榎本 雅夫
1
,
宮木 康夫
1
,
藤村 聡
1
1日本赤十字社和歌山医療センター耳鼻咽喉科
pp.390
発行日 2000年4月15日
Published Date 2000/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902982
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カンジダ症はカンジダ属に起因する感染症であり,局所的,全身的にみられる疾患である.カンジダ症は真菌症全体の中でも発生頻度は最も高く,近年増加傾向にある.とくに消化管,呼吸器,腎・尿路系に発生しやすい.本例はカンジダ属の中でも最も頻度が高いCandida albicansによるものである.しかし,近年原因菌種も多様化し,C.tropicalis, C. ParaPsilosis, C. krusei, C.glabrataなども増えつつある.
症例は47歳,男性.アルコール性肝硬変とそれに伴う腎障害を有するcompromised hostで,治療中に口腔カンジダ症を発症した.左図は,初診時の口腔内所見である.軟口蓋,硬口蓋,舌表面に発赤を伴う白苔が観察される.この段階で口腔内真菌症を疑うことは容易であり,鏡検および培養検査で真菌の存在を証明し,確定診断がつく.右上図には,喀痰疾より観察されたC.albicansの光顕像を示した(コーンミール寒天培地,200倍).C.albicansに特徴的な仮性菌糸とその先端に楕円形の厚膜胞子が観察される.右下図に,パパニコロウ染色を行ったC.albicansを示した(500倍).本体より発生した仮性菌糸および楕円形の厚膜胞子が染色され観察される.
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