再評価後の漢方治療入門―もう一度随証治療・16
男性不妊と女性不妊(その3)―補中益気湯と当帰芍薬散,桂枝茯苓丸
坂口 佳司
1
1坂口循環器科内科医院
pp.371-374
発行日 2000年4月15日
Published Date 2000/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902978
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
当帰芍薬散・桂枝茯苓丸(承前;前号より続く)
3)現代における当帰芍薬散,桂枝茯苓丸の研究
山崎らは,挙子希望で受診した1,818例に対し各種治療を行い,妊娠した522例のうち,53例が当帰芍薬散と桂枝茯苓丸を中心にした処方の投与で妊娠に至ったことを報告している.これらの患者は,主として機能性不妊症に属するもので,これらの症例は他の治療法では効果を認めず,漢方投与後初めて妊娠に至ったとしている1).
安井ら2)は,排卵障害による不妊症例に対して,クロミフェン単独療法(52例)とクロミフェン・当帰芍薬散併用療法(41例)の比較検討を行った.排卵率には両者の間に差はなかった.妊娠率についても有意差はみられなかったものの,併用群で高い傾向があった.妊娠した時期を比較すると,併用群で有意に早く妊娠が成立しており,排卵したものの妊娠に至らない症例について,併用療法により妊娠に至る可能性が示唆された.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.