臨床画像 37巻3号 (2021年3月)

特集1 地力が伸ばせる頭部画像診断

序説 掛田 伸吾

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脳血管性疾患には脳梗塞,動静脈瘻,脳動脈瘤などが含まれる。いずれも患者の生命やquality of lifeに直結する疾患として重要であり,診断や治療方針の決定には画像診断が欠かせない。これらの疾患は病態や画像が多彩であり,すべてを紹介することは困難なため,典型例や臨床的に重要な事項を中心に概説する。

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社会の高齢化に伴い,神経変性疾患の罹患数は増加しており,わが国ではまれな疾患とはいえない状況である。神経変性疾患は認知機能障害や運動障害,自律神経障害など多彩な症候を呈するため,臨床症状,理学的所見のみでの診断は必ずしも容易ではない。本稿では,明日からの診療に役立つよう,日常的に遭遇しうる疾患を中心に,その臨床像,画像所見を概説する。

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脱髄性疾患として多発性硬化症を中心に,抗MOG抗体関連疾患や急性散在性脳脊髄炎にみられる脱髄の画像所見を,静脈を中心に炎症性細胞浸潤が生じるという病理学的特徴に着目して述べる。また,類似した画像所見を示す視神経脊髄炎スペクトラム疾患についても言及する。

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感染症や脱髄性疾患を除く炎症性・反応性疾患を考える場合,その診断は多彩となり,かつ病態も複雑である。そこで本稿では,各疾患についてではなく,「大脳辺縁系の異常」と「血管の口径不同/狭窄」という2つの所見に注目し,読影と鑑別疾患について述べる。これらの所見は,日常の読影で必ず遭遇するものであり,炎症性疾患を含め鑑別を整理しておくことが重要である。

腫瘍性疾患 上谷 浩之 , 平井 俊範
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脳腫瘍のWHO分類が2016年に改訂され,分子遺伝学的なマーカーによって亜分類されるようになった。脳腫瘍の診断には発生部位や年齢が重要であるが,本稿では脳腫瘍でcommonにみられる神経膠腫,小児好発腫瘍,トルコ鞍近傍腫瘍について,典型的な画像所見や鑑別診断について解説する。

特集2 MRI室のヒヤリ・ハットをつぶせ!

序説 圡井 司

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MRIの安全を確保するためには,ある程度の物理的な背景をもって危険なことが生じる機序を理解し,体で感じることのできない潜在的な危険因子に細やかに気を配る必要がある。本稿では,そのための項目として操作モード,静磁場の力学的作用,ならびにRF磁場による発熱に焦点を絞って解説する。

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磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging;MRI)従事者の安全性と胎児のMRIを考えるにあたっては,さまざまな機関で行われてきた電磁界曝露の安全性評価が参考となる。本稿ではまず曝露状況を整理した後,現状のガイドラインおよび安全性情報に関して,妊娠就業者のMRI業務と胎児MRIに対する考え方を紹介する。

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MRI撮影室に酸素ボンベ,ストレッチャーなどの大型強磁性体が持ち込まれ,吸着事故が発生した場合,患者や医療従事者を巻き込む重大な結果を生じる可能性がある。また,装置破損による補修費用,検査停止による診療への影響などの経済的損失も大きい。本稿では北里大学病院での対策を具体的に紹介し,大型強磁性体の持ち込み対策について考える。

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RF熱傷事故はMRI検査中の人身事故の大半を占め,MR装置の高磁場(高周波)化に伴い増加傾向にある。ボア壁や皮膚間などの接触部位に多発するRF熱傷事故は,電磁界シミュレーションが可能であり,スキャナ内での患者位置などのポジショニングがRF発熱に大きく影響することが判明した。特に,RF磁界に加えRF電界への注意が必要である。

体外装着品への対応 坂井 上之
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体外装着品をMRI検査室に持ち込むことによる事故には,吸着事故や発熱による火傷が多い。体外装着品をMRI検査室に持ち込むことにより生じるリスク,およびMRI検査の実施について,記載のない一般販売品への取り扱いと事故防止対策について解説する。

体内金属への対応 圡井 司
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できるだけ多くの方へのMRIの恩恵の提供が使命であると思う一方,体内金属の存在は,安全にMRIを実施するための最大のハードルである。操作者は体内金属を絶対に見逃さないこと,添付文書を遵守すること,体内金属に働く作用を推測し,メカニズムを基に危険性を判断することで安全なMRIが担保できると考える。

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放射線科以外の医療従事者と,夜間・休日などの時間外に緊急MRIを実施する担当者の,MRIに対する安全管理およびその教育は重要である。MRIの安全を確保するためには,検査を依頼する医師,患者とともにMRI検査室に来ることが多い看護師,そしてMRI検査を施行する担当者の安全教育が必須になる。強磁性体の吸着事故防止,RF(radio frequency)による発熱(火傷防止),体内金属の確認,患者および検査室内に入る医療従事者の持ち物の確認などの重要性を理解してもらう安全教育が必要である。

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体内植え込み型デバイス(以下,デバイス)を留置した被検者に対するMRI検査の安全性を確保するため,デバイスのMR適合性に関する情報確認が必要である。多様化するデバイスのMR安全性情報が集約され,医療スタッフがMRI検査の可否の判断や撮像条件の設定に利用可能になっている。

連載 先生, 日本専門医機構認定専門医制度について聞かせてください!

[第3回]

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学会認定放射線科専門医の更新が可能な最後の年度は2021年度のみとなり,2022年度以降に専門医を更新する場合には,機構認定放射線科専門医に移行しながらの更新となる。連載の第1回で神戸大学の村上卓道先生が詳細に解説されたように,学会認定専門医更新は学会出席単位が主体であったが,これからは診療実績,講習受講,学術業績などのさまざまな要件を組み合わせた要件にて更新を行うことになる(Table 1)。現段階では,機構認定専門医は基本領域である放射線科専門医のみであるが,放射線診断専門医,放射線治療専門医も機構認定サブスペシャルティー専門医制度に移行する予定である。それに伴い,更新基準は今後も改訂されることが予想され,また,更新のための試験の導入や勤務規定の条件が付加される可能性もあるが,本稿では現段階での更新の実際について,モデルケースとして記載する。

連載 特集アドバンストコース

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本特集の特長の1つは,「非外傷性」という縛りを加えたことである。これにより,「外傷」という1つの大きな入り口が封じられ,どこの入り口からどのような症例が現れるのかわからない,という緊張感が特集をとおして漂っている。まさに,さまざまな種類の主訴・依頼状とともに日々われわれ放射線科医を待ち受ける多くの症例のなかに潜む,数々の「落とし穴」の気配の発するそれと同じである。そして本特集における工夫はそれだけに留まらない。なんと,「かすかな」所見からこれらの症例をひも解かなければならない,というのである。読者はきっと相当な集中力をもって1例1例の病歴や画像を注意深く読み込んだことであろう。そして実臨床で痛い目に遭う自分自身の姿を想像し,絶対に同じミスをしないようにと胸に刻み込んだはずだ。

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基本情報

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臨床画像
37巻3号 (2021年3月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0911-1069 メジカルビュー社

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