臨床検査 4巻6号 (1960年6月)

グラフ

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 衛生害虫とは,人に衛生上の害を学える昆虫のことである。ダニは,分類学上クモ綱に属し昆虫ではないが慣習上,衛生害虫として取扱う場合が多い。

 衛生害虫による害には次のような場合がある。第1は,伝染病の媒介や病原菌の運搬である。(蚊—マラリヤ・日本脳炎・フイラリア症,ノミ—発疹熱・ペスト,シラミ—発疹チフス,ツツガムシ—恙虫病,ハエ・ゴキブリ—消化器系伝染病など)。第2は,吸血・刺咬の害(蚊・アブ・ブユ・シラミ・ナンキンムシ・マダニ・ノミなど)。第3は,皮膚炎を起させる害(ドクガ・アオバアリガタハネカクシなど)。第4は,害虫自身が病原体になる場合(ハエ症・人体内ダニ症など)。第5は,不快感を与える害である(ハエ・ゴキブリ・カメムシ・ハアリなど)。

主要寄生虫の成虫図譜 石崎 達

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尿中Corticoids測定法

 尿中Corticoidsの化学的測定は17—KSに比較し,より直接的に副腎皮質ホルモン乃至その代謝産物を測定する方法であるため,副腎皮質機能の鋭敏な示標となりうる。その測定法も1945年Tal-bot等により始めて発表されて以来数多く報告されているが,1950年頃までは主として遊離型の測定に止まつていた。併しながら遊離型の占める割合は極く一部分にすぎず,大部分はグルクロン酸と結合した形で排泄されている。硫酸塩の形をとるものもあるが,之は極めて少部分で,然もこの形の結合は緩和な酸処理で比較的簡単に分解されるものと考えられている。従つて最近では結合型Corticoidsの測定が重視されている。その加水分解は17—KSの場合のように強酸と加熱する様な操作は使用出来ず,酵素水解によるか,又は1952年Reddy等1)の発表したn-Butanol抽出法のいずれかによらねばならない。その測定法は結合型の加水分解,抽出,精製分離,比色定量の4操作に分けられるが,最後の呈色反応は分離抽出したCorticoidsそのものの反応でなく,すべてCor-ticoidsの化学的特性を利用する事により行なわれている。種々考按されているが,総括すると第5表の如くである。

ブドウ球菌の検査法 桑原 章吾
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I.まえおき

 われわれの身体の内外表面や,生活する環境には多種多様な微生物が入り乱れて生存している。その一部はもちろん病原菌である。

 病原菌とよばれる徴生物種の中には,全く丈夫でその病気になつたことのない者には附着生存できない種と,健康者に時々保菌され得るものとがある。たとえばリン菌などは前者に属するものであり,逆に髄膜炎菌,レンサ球菌,ジフテリア菌あるいはここで問題にしようどするブドウ球菌などは後者の代表的なものである。

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まえがき

 最近,わが国でも真菌研究者がとみにふえてきて,取り扱う真菌の種類も多種に及ぶようになり,必然的に菌株をいかにして保存すべきかということについて関心が深まりつつあるようである。真菌も微生物の中の一群である以上,保存上の取り扱いが他の微生物の場合とその趣旨において,おおむね同様であることはいうまでもないであろう。ところで一般の病原微生物株の保存法については,既に本誌Vol,4 No.1,27-33,1960に佐藤和男博士が詳細懇切に記述しておられるので,本文においては,菌株保存に関する一般的な記述は省略し,専ら真菌,特に病原真菌の保存法について,現在おこなわれている一般的な方法を紹介し,浅い経験ながら私見をつけ加えて行きたいと思う。

 真菌株の保存方法が他の微生物株のそれと大綱においては同様であるとはいえ,前者が形態学的生理学的その他の諸性状において後者とは大きく相異する以上,かなり趣きの異なつたものであることは当然であろう。このような見地からすれば保存法を云々する前に,真菌全般に関する基礎的知識をもつことが先決問題であるが,もとより本文ではそれにふれることが目的でない。

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はじめに

 血液凝固学の進歩に伴いプロトロンビン測定法も臨床的方面に応用されるようになり,臨床検査室のルチンワークの一つとして登場した。その理由の一つに従来プロトロンビン測定法を行う際用いる試薬の組織トロンボプラスチンは,兎の脳随から作る操作が極めて繁雑であり,作り方によつても力価が一定しなかつた事なぞから多分に敬遠された向きもあつた。しかし最近は常に力価が一定で簡単に使用出来るよう調製された組織トロンボプラスチン製剤も販売されるに到つてプロトロンビン値の測定は非常に容易に出来るようになつたわけである。ここではこれらのテスト用試剤の紹介を行うと共に,プロトロンビン時間測定法の簡単なる原理と実際の手技(主にQuick氏法)について筆者の経験を参考に解説を加える。

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まず肉眼の所見をとることが大事

 樫田 "糞便"という言葉は字も難しいが,そうかといつて"大便"といつては検査室では名前が悪い。それで結局"糞便検査"といつてますネ。"尿"については前回に扱いましたが,この"糞便の検査"は化学的な検査と寄生虫学的な検査に大きく分けられます。細かい話に入る前にまず患者からとつた便そのものの状態,外観の話を1つ持出そうと思いますが,天木先生から口火を切つていただぎたいと思います。

 天木 正常な便というのは適当な硬さと色調とを持つています。色は食餌によつてある時は非常に暗褐色をしていますしある時は黄色をしておりますけれども,大体ある範囲の中にあります。それが出血しますと非常に黒くなつてきてかなりの量の出血がありますとタール便とか,テール便とかいうようなまつ黒な色になります。また胆汁排出障害のときには脂肪が消化されないため灰白色調を示すようになります。胃腸のレントゲン検査のバリウムが大量に混じていても似た色になりますがよくみると区別ができます。

『医学常識』

糞便とたべもの(その1) 原 実
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 説明するまでもなく糞便はたべものの不消化残渣の外に,消化液,消化管粘膜の脱落部分,粘液微生物,およびそれによる分解生成物質,腸よりの再排泄物質等を含んでいることはよく知られている。しかし糞便の大部分がたべもの残渣からなり,消化作用をうけても非吸収部分として残つた物であるから,たべものの状態や消化吸収の働によつて多少の影響が糞便の上に及ぼされる訳である。

 たべものの成分中でも線維素(セルローズ),ヘミセルローズ,(ガラクタン,ペクチンなど)アルブミノイド等が不消化分として糞便に含まれる。そして特有の消化液胆汁色素による色と分解物による臭気を呈する。

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 先月号では内分泌臓器の種類,身体のなかの位置,構造,どんなホルモンを出すか,またそのホルモンがどんな作用をもつているかなどについて申しあげました。今月はひきつづき内分泌の障碍によつておこつてくるいろいろな病気についてのべてみます。

 勿論内分泌の病気は内分泌腺からでるホルモンが多すぎるか(機能亢進)少なすぎるか(機能低下)によつておこるものが大部分です。それで以下の表には内分泌臓器別,機能別にした病名をあげておきます(第1表)。

海外だより

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 病院の検査室を訪れると,作業衣の襟に小さな金色のMedicalTechnologist(M.T.)のバツジ(こちらではピンと云います)をつけたり,あるいは肩か胸に青い文字で書かれたM.T.のマーク(5×4cmくらい)をつけたり,あるいは又胸の名札に「Miss L.Gonyea Med-ical Technologist」又は「MissM.Tucker M.T.(ASCP)と記したり,あるいはその全部をつけている女性をみかけます。そしてこれらのM.T.たちの多くはその作業室の壁にアメリカ臨床病理学会(ASCP)からの認定証を額に入れて掛けています。

 M.T.の資格をとるためには認可されたSchool of Medical Tech-nology(医学技術学校)を卒業し,ASCPの認定試験を受けなければなりません。この医学技術学校に入るためには,高等学校卒業後カレツジに2年以上在学して所定の基礎科目を修めることが必要です。そして医学技術学校での修学期間は12ヵ月以上で,病院の検査室での実習が主になつています。今北米合衆国には約700の認可された学校がありますが,その中には極めてよく整備された程度の高いものから,やつと最低基準すれすれのものまであるそうです。

〈検査室メモ〉

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1.はしがき

 ホルモンとは内分泌腺(註1)から分泌され,ごく少量でいろいろの組織に大きな効果をもたらしたり,生体のいろいろの代謝に大きな影響を与える物質である。

 現在ではいろいろのホルモンが精製分離され,その構造も決定され,人工的に合成されるものもあるが,不明のものも少くない。以下,重要なホルモンについて,その性質,生理作用,過不足によつておこる疾患などについて簡単に紹介する。

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 魚介・海草類や塩漬食品などによつて起る食中毒のうち,病原性好塩細菌(Pseudomonas en-teritis)を原因とするものが近年数例報告されている。1-3)本菌の食中毒原性についてはすでに滝川ら4)により精細に検討されているが,その分離には適切な培地がないために,従来普通寒天に3〜5%に食塩を加えたものが常用されて来た。この培地では病原性好塩細菌は37℃18時間培養でよく発育し,一方大腸菌その他の細菌は食塩によりある程度発育を阻害されるために,一応本菌の分離が可能である。しかし実地に当り汚染食品やふん便などの場合はブドウ球菌のような食塩耐性の菌はもちろんのこと大腸菌その他の雑菌類もかなり発育してくるので,分離培地としてはやや不便である。

 私共は病原性好塩細菌が乳糖非分解および好塩性である特性を利用し,BTB乳糖寒天(BTB培地)に4%に食塩を加えた培地を用いて菌の分離によい結果を得ているので,その要点を報告して参考に供したい。

基本情報

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臨床検査
4巻6号 (1960年6月)
電子版ISSN:1882-1367 印刷版ISSN:0485-1420 医学書院

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