座談会
糞便の検査法
石崎 達
1,2
,
浅見 敬三
3
,
松村 義寛
4
,
天木 一太
5
,
松橋 直
2
,
高橋 昭三
6
,
樫田 良精
2
1予防衛生研究所
2東京大学
3慶応大学
4東京女子医大
5日本大学
6東京大学細菌学教室
pp.362-370
発行日 1960年6月15日
Published Date 1960/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905711
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まず肉眼の所見をとることが大事
樫田 "糞便"という言葉は字も難しいが,そうかといつて"大便"といつては検査室では名前が悪い。それで結局"糞便検査"といつてますネ。"尿"については前回に扱いましたが,この"糞便の検査"は化学的な検査と寄生虫学的な検査に大きく分けられます。細かい話に入る前にまず患者からとつた便そのものの状態,外観の話を1つ持出そうと思いますが,天木先生から口火を切つていただぎたいと思います。
天木 正常な便というのは適当な硬さと色調とを持つています。色は食餌によつてある時は非常に暗褐色をしていますしある時は黄色をしておりますけれども,大体ある範囲の中にあります。それが出血しますと非常に黒くなつてきてかなりの量の出血がありますとタール便とか,テール便とかいうようなまつ黒な色になります。また胆汁排出障害のときには脂肪が消化されないため灰白色調を示すようになります。胃腸のレントゲン検査のバリウムが大量に混じていても似た色になりますがよくみると区別ができます。
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