臨床婦人科産科 71巻2号 (2017年3月)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

胎児手術における麻酔 大橋 夕樹
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●胎児手術を受ける胎児は痛みを感じる経路が完成しており,手術の際には無動とともに鎮痛が必要である.

●胎児手術はさまざまな侵襲度のものがあり,侵襲度に応じた胎児と母体に対する麻酔方法を概説した.

●重篤な疾患の胎児を手術することが多く,胎児蘇生薬の準備が必要となることが多い.

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●自施設の麻酔管理能力を考慮し,ハイリスク患者(>ASAリスク分類Ⅲ)は高次施設に紹介する.

●パンフレットを用いた説明(手術・麻酔の合併症を含む)と同意を取り,術前絶食の順守は麻酔前に再確認する.

●麻酔法の種類に関係なく術中の血圧,ECG,SpO2モニターは必須である.

●術者以外に,術中・術後モニターなどの異常を早期発見できるスタッフをベッドサイドに常駐させる.

無痛分娩

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●硬膜外無痛分娩は,産痛緩和効果が高く児への影響が少ない,すぐれた方法である.

●抗凝固療法中の産婦での可否はガイドラインに準じる.痛みで半狂乱となった産婦は硬膜外無痛分娩のよい適応である.

●低濃度局所麻酔薬とオピオイドを併用し,麻酔範囲をデルマトームで評価しながら,薬物投与は少量分割注入に徹することで,安全で効果的な無痛分娩を提供できる.

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●無痛分娩の開始時期は帝王切開術施行率に影響しないので,産婦の要望に応じて麻酔を開始すべきである.

●娩出直前に麻酔を開始することは,硬膜外穿刺に伴う合併症や胎児徐脈の危険性から好ましいとはいえない.

●快適で安全性の高い無痛分娩を提供するために,各施設の事情に合った無痛分娩を選択すべきである.

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●無痛分娩の開始時期は,「患者が無痛分娩開始を希望したとき」かつ「産科医師と麻酔科医師が無痛分娩開始に適切な時期であると判断したとき」である.

●われわれの施設では,無痛分娩の麻酔方法は,9割以上の症例で硬膜外鎮痛法(単独)を行っている.

器械分娩の麻酔 大瀧 千代
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●無痛分娩中と無痛分娩を行っていない症例で麻酔のアプローチは異なる.

●低位鉗子分娩もしくは吸引分娩にはTh10レベル,中位鉗子分娩ではTh6の麻酔高が必要である.

●低位鉗子分娩もしくは吸引分娩には陰部神経ブロックでも対応できる.

●常に帝王切開になる可能性を想定して麻酔を行わなければならない.

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●妊娠出産に伴う母体循環変化を知ることが合併症の予防や早期診断につながる.

●分娩時の麻酔は痛みを和らげるとともに心拍数・血圧上昇を抑える.また,酸素消費量,分時換気量を減少させる.

●心疾患合併妊娠には有利な作用が働くが,禁忌疾患もあり注意する.

帝王切開手術の麻酔

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●区域麻酔では手術と同等の清潔操作を心がける必要があるが,消毒液自体に神経毒性があるので,誤注入しないよう最大限の注意を払う.

●脊髄クモ膜下麻酔も硬膜外麻酔も穿刺針を進める際に,貫いている組織の抵抗を指先に感じるよう努めることで,熟練した手技を身につけることができる.

●脊髄クモ膜下麻酔では高率に母体低血圧をきたすため,輸液負荷や子宮左方転位など十分な低血圧対策を行わないと胎児アシドーシスとなりうる.

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●妊婦の麻酔導入では誤嚥を防止するため迅速導入(rapid sequence induction : RSI)を行うが,一方で気道確保困難にも注意が必要である.

●現代の麻酔はバランス麻酔でありオピオイドの併用は基本だが,管理の主体が母体か胎児か(両方か)を考慮して,胎児娩出までの麻酔薬の選択や投与量を考慮する.

●妊産婦も非妊産婦と同等の麻酔薬濃度が必要であること,揮発性麻酔薬とプロポフォールが同等の子宮筋弛緩作用をもつことを念頭に,胎児娩出後の管理を行う.

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●超緊急帝王切開の適応

●超緊急帝王切開の麻酔方法

●プロトコル作成

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●帝王切開術を実施する際,術後痛対策が必要である.

●オピオイドの脊髄クモ膜下投与は有効な術後鎮痛法の1つである.

●副作用の懸念はあるものの,適切な管理によりオピオイドの脊髄クモ膜下投与は安全に実施できる.

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●IV-PCAは有用な鎮痛法であるが,帝王切開術後の鎮痛法として用いられることは少なく,今後,その機会はさらに減っていくであろう.

●IV-PCAを成功させるポイントは,まず,ローディングかタイトレーションによってオピオイドを投与して,痛みがない・少ない状態から開始することである.

●IV-PCAを成功させるもう一つのポイントは,痛みが強くなってからPCAを用いるのではなく,PCAを用いて鎮痛状態を維持するようにすることである.

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●死戦期帝王切開とは,妊産婦が心肺停止となった場合に,母体および胎児あるいはそのどちらかを救命するために行う帝王切開のことである.

●死戦期帝王切開における麻酔科医の役割は,蘇生に成功した後の患者の麻酔管理をすることだけではなく,一連の蘇生処置においてコマンダーとして現場を指揮することである.

●分娩を扱う施設では死戦期帝王切開だけにこだわらず,妊産婦の心肺停止が発生した場合にどのように対応するかを普段から協議しておくことが重要である.

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 近年,さまざまな分野で再生医学・再生医療が目覚ましい発展を遂げている.再生医療とは,構造あるいは機能の障害・不全に陥った生体組織・臓器に対して,主に「細胞」を利用して,その構造あるいは機能の再生を図る医療である.その際に用いられる「細胞」としては,自己複製能と多分化能を有する「幹細胞」が最有力候補になる.したがって,幹細胞学と再生医学・再生医療は,さまざまな分野で密接に連動しながらこれまで進展してきた.産婦人科領域においても同様であり,子宮や卵管などの雌性生殖管に加えて,生殖巣での精子や卵子といった生殖細胞の幹細胞学・再生医学・再生医療が劇的に進展している.本稿では,雌性生殖管,特に子宮の幹細胞学および再生医学・再生医療の現状を概説する.

連載 Estrogen Series・159

hot flashes 矢沢 珪二郎
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 のぼせは,体に暖かい感覚とともに突然始まり,女性の身体を暖かく包むような感覚を残して,去る.ときには,その暖かい,暑い身体感覚により,全身が汗まみれになるほどである.いままで長いあいだ,のぼせは更年期を定義づけるような特徴的な症状だと考えられてきた.しかし,のぼせについて知ることは,中年女性の健康にとって大切なことである,と研究者は述べている.

 米国NIHは過去22年間にわたり,3,302名の女性を対象に,のぼせについてのデータを集積し,更年期女性ののぼせには,4種類のタイプがあることを発表している.それぞれのタイプに属する女性の数は,ほぼ均等に分割される.

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール

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症例

▶患者 55歳,5経妊2経産,閉経48歳.

▶主訴 長期の不正性器出血.

▶既往歴

 40歳で慢性腎炎となり,51歳から血液透析治療中(毎回ヘパリン3,000 IU投与).

連載 Obstetric News

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 帝王切開(帝切)後の経腟試験分娩(trial of labor after cesarean delivery : TOLAC)には論争の歴史がある.転帰に対するデータが累積され,よくあることではないものの合併症が壊滅的だという慎重な意見が持ち上がった.その結果,TOLACを提案する医師と施設数同様に,TOLACを希望する女性数が急激に減少する結果に繋がった.

 経腟分娩成功となるTOLACは選択的反復帝切より少ない合併症に関連することをデータが示している.しかし,TOLAC不成功は選択的反復帝切より重篤な合併症が高率である.帝切後経腟分娩(vaginal birth after cesarean section : VBAC)成功は,特有の母体の臨床的因子に基づき,正確度はあまり高くないものの,予測が可能である(表1).

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基本情報

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臨床婦人科産科
71巻2号 (2017年3月)
電子版ISSN:1882-1294 印刷版ISSN:0386-9865 医学書院

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