病院 24巻3号 (1965年3月)

特集 購買管理

病院の購買管理 落合 勝一郎
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購買管理の重要性

 病院が購買する物品は,多種多様である。武蔵野日赤においては,注射薬,試薬を含めた一切の薬品類の種類は2,100種に達すると報告している。また聖路加では,注射薬品,その他の薬品,衛生材料,放射線フィルムなどの診療用消耗品,注射器,シャーレなどの医療用消耗品,給食材料,洗濯,清掃用材料,事務用品類,営繕用材料,リネン類などすべての物品の種類は,だいたい6,000種を数えている。しかもこれらの物品は,こまごまとしたものが多いこと,一品目ごとの数量は,比較的少量であること,すなわち多種少量が,病院物品の特長である。したがって,購買業務は煩鎖となり,購買価格の切り下げはむずかしくなる。さらに,これらの物品を購買するに要する費用について観察してみると,極めて大ざっぱにみて,その購買総額は,病院収入の大部分を占める患者収益に対して,30パーセントを上回るのである。これらは,病院コストのうちで人件費に拮抗する膨大な金額であって,購買管理の良否が病院経済に重大な影響をおよぼすのである。武蔵野日赤は人件費48パーセント,購買費30.6パーセントを記録し,聖路加は人件費46パーセント,購買費34パーセントを示している。米国における病院の事例をみても,全米病院平均比率は,人件費65パーセント,購買費30パーセントで,購買費の総額は,10億ドルを越すと報告されている。

 つぎに物品高の影響も深刻な問題である。

購買モラル 井上 昌彦
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購買モラルとは

 病院の購買部門で行なわれる業務は,病院が日常その機能を行なってゆくために必要ないろいろの資材を調達して,これを病院の各部門に供給することである。

 病院活動が支障なく進められるためには,購買部門は,病院が必要とする資材を,その必要とする時点に,必要とする品質のものを,必要とする数量だけ,病院の要求する適正な価格で,調達して病院に供給しなければならない。すなわち購買部門で行なわれる業務は,一定の時期に,一定の品種,品質,数量,価格の資材を確保することである。

医薬品の購買管理 森 直一
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1.はじめに

 医薬品の種類は,現在2万〜8万5千種類あるといわれている。医薬品の全体の生産高は,昭和38年度の推計では,約3,000億円に達すると称せられるが,昭和37年にくらべると,約25%の増加となっている。

 このような,多種類の医薬品がわれわれの生活の中になんらかの形で,結びつきを持つに至ったのは,まずオートメ化による量産体制が整ったのと,マスプロに完全に乗ったからで,テレビのコマーシャル放送のチャンネルを回すと,医薬品の宣伝が,色々な場面と形で,遠慮なしに,われわれの目に飛び込んでくるし,新聞や,週刊誌,交通機関の中でも,必ず医薬品の広告が目につかないことはない。だから広告費も,全産業における広告費中に占める割合は,9%となっているといわれている。医薬品が,化学産業の中でも順調にのびており,そのほか,相当多額の外国製薬品の輸入があるはずであるから,これを計算に入れると膨大な数字となるであろう。

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1.購買の重要性

 病院における原価の上昇は世界的な問題であるが,とくに米国の病院では患者1人1日当たりコストは35〜40ドル(12,600〜14,400円)にもおよび過去10年間に100%以上の上昇をもたらしており,病院を支える地域社会の大きな問題となっている。コストのうち25〜30%は物品の消費にあてられ,全国7,000病院では,じつに年間10億ドル(3,600億円)以上の物品が消費されており,それの合理的な使用を求める声は,無駄な使用に対する批判とともに大きな要請となっているのである。

 一方病院内部においても,病院内で使用される物品は,少なくとも3,000種類多い場合は5〜6,000種類に及ぶといわれ,それら多種多様の物品の購買は,専門家の知識技術なしには,不可能となりつつあるのである。

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 病院が一般企業と性格を異にする組織であることは,もはや言うまでもない。しかも,病院は使用するモノを購入するが,決して売る目的はもっていない。そこには,おのずから独自の購買形式がみられるはずである。そこで,4つの病院の購買担当者に集まってもらい,その実状を語ってもらった……。

グラビア

第4回病院視察研究会
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 範を国際病院連盟のStudy Tourに範をとった日本病院協会催すところの病院視祭研究会は東京をふりだしに今年で4年目,こんどは山口,福岡の両県の病院7つをみせていただくこととなった。研究員は橋本会長,吉田研究所長はじめ全国から48名,バスを借切って防府市から福岡市まで,見学・討議の3日間の旅をつづけた。時は昭和39年11月17〜19日。

第15回日本病院学会ニュース

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 戦後20年,わが国の病院も非常に変貌した。大都市やその周辺のみならず,地方の小都市にも堂々たる偉容を示す病院が続々として建築されつつある。長期にわたる戦争のため一顧も与えられず,戦後の空白時代荒廃の極にあった状態と較べて,まさに雲泥の差だといっても敢えて過言ではないであろう。

 然らばこれを動かす管理運営については果してどうであろうか。これも戦前や終戦直後に比較すれば著るしい進歩の跡はうかがえるが,遺憾ながらまだ底は浅く,また狭いといわざるを得ない。病院機能の一つ一つが完全に近く行なわれ,機能全般が調和して,あたかも狂いのない時計のように動いている病院は,私の視野の狭いことにもよるであろうが,決して多いとはいわれないようである。

第15回日本病院学会プログラム
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会期昭和40年5月13(木),14(金),15(土)日

場所京都会館(京都市岡崎)○印は発言者

特別掲載

メーヨー物語 橋本 寛敏
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聖路加国際病院長の橋本寛敏先生が,メーヨー・クリニックから"偉業達成賞"をおくられたことは,すでに昨年11月号(68ページ)でお知らせいたしましたが,これを機会に,メーヨー・クリニックのなりたちとその偉大な足跡についてお書きいただきました。カット写真は,ミネソタ大学の大学院出身者として表彰されたので,式後ウイルソン総長(右)にあいさつする橋本氏(中央)と式場で表彰状とメダルを伝達したメーヨー財団副長ミラー博士(左)

病院管理講座 実務編・20

小児病棟管理の実際 壁島 あや子
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 わが国における小児病棟の歴史は,諸外国のそれと比較するとあまりにも短かい。したがって,その運営面においてもまだ多くの問題点をもっている。いずれにしても名実ともに充実した小児病棟にするには,もちろんそれなりの条件,要素がそろっていることが必要であるが,私はまず第一に小児病棟の看護管理者自身が,小児病棟の特徴をよく把握し,小児看護に精通していなければならないと思う。

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 近年,生産性の向上によって人件費の上昇,人員の不足がいちじるしく,ことに看護婦では職業意識の変化などもあって,その不足は病院管理上の大きな問題となってきた。これにはもちろん待遇の改善,養成の合理化などがまずもって必要である(島内:看護制度はいかにあるべきか,看護昭37. 12. p85)が,なお今日看護婦によっているところの業務の合理化による人手節約が検討されてよい。そして,このことに関してさきに病院設備の改善を検討した(島内,岩本,車田:病室単位とその設備について,病院昭39. 5. p65)ので,ここには「使い捨て」用品の利用について考えてみることとした。

出版だより 医学書院
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■病院内感染の管理

 アメリカ病院協会発行の病院管理専攻論文シリーズの1冊Con-trol of Infection in Hopitalsを日大医学部教授・永沢滋先生が翻沢され,「病院内感染の管理」として発行される。

御存知のように,長年にわたって"院内感染"に取組んでこれらた永沢先生のライフ・ワークのひとつであり,原書はこの研究のいわば定本ともいうべもので,内容は院内感染全般にわたった解説,具体的な疾病例によ実際の問題と2部よりなり,実地医家はもとより,病院職員だれもが一読にあたいするものである。(4月末発行予定)

編集主幹ノート 吉田 幸雄
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 時は陽春5月,所は京都岡崎公園。今年の病院学会の盛況は空前といって間違いないだろう。荻原学会長と安富幹事長の御努力で,すでに堂々たるプログラムができあがった。読者の多数の参会を望みたい。

 国際病院会議も6月Stockholmで開催されるが,橋本寛敏日病会長をはじめ多数の人びとが参加する模様である。特に今年はいよいよ日本が国際病院連盟の理事に選ばれるらしい。そしてNew Yorkの次にはTokyoの声がかかりそうである。日本の病院人の御精進が国際場裡に花を咲かせることも遠くではない。

ホスピタルトピックス 経営

病院労働争議の正当性の基準 A.S.
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 本号では,昨年8月最高裁で判決のあったある精神病院の事件について紹介する。これは昭和31年3月から4月にかけて起こった当病院の争議行為において,病院側ではこの争議は精神病院の特殊性を無視し,管理権を侵害,また,就業規則に違反した不当な争議であるとして,これを企画・指導した組合幹部3名を懲戒解雇した。これに対して,組合側はこの解雇を不当労働行為として提訴したのがそもそも本件の発端である。

 本件の係争は,初審(新潟地労委昭32年2月),再審(中労委昭32年12月),さらに行政訴訟第1審(東京地判昭34年10月)控訴審(東京高判昭36年9月)を経て,ついに上告審(最高裁)に持ち込まれた。そして裁判の争点はいずれも(1)精神病院における争議行為の正当性の基準(2)病院に勤務する薬剤師・看護人・看護婦がその業務を放棄することは,果たして労調36法条に違反するかどうかという2点にしぼられていた。

ホスピタルトピックス 看護管理

看護教育の問題 山田 里津
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 毎日の緊張した生活の中に,少しでもうるおいをもちたいと手芸店からかわいい縫ぐるみの動物セットを求めた。テレビを見ながら2時間あまりででき上がった熊や犬はじつにかわいい。

 どの一つをみても表情は豊かで愛らしい。中学生の長女がすっかり喜んでこのごろは勉強そこのけで熱中している。つぎつぎにでき上がるこのおどけたマスコットも,数を重ねるごとに手際のよいすっきりしたものとなる。この縫ぐるみのデザインや型紙を考案した人の創造性や想像力を考えるとき,看護婦教育においても,ただ教科書にあることを全部覚え,看護技術が上手にできても,原理,応用力,創造的な活力がのばさなければ意味はない。与えられた型紙どおりに縫い合わせる縫いぐるみと少しも変わらない。いったい看護婦像とはどういうものを要求しているのだろうか。その者にはどのような教育が必要なのだろうか。このことは多くの識者により語りつくされ,今さらここで論をまつまでもないが,つまるところは,人間を主題にした業務であり,患者を病人としてのみとらえるのでなく,人間としてとらえ,その中にヒューマニズムを必要とし,さらに病気から立ち上がろうとする人間を観察洞察し,社会復帰をさせる役割をもつのであって,単なる「職人的技術」教育でなく,専門職業としての知識,技術教育を与えるべきである。技術教育に不可欠な「実習」は多くの問題をもっている。

ホスピタルトピックス 事務管理

使い捨て物品の使用 紀伊国 献三
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 使い捨て物品(Disposables)の病院における使用は,昨年の病院学会における島内東北大教授らの発表にあったごとく,重要さを急速に増しつつある。

 使い捨て物品の採用のもっとも理解しやすい動機は経済的節減(金と時間)であろうが,同様に重要なものとしては,院内感染の防止,患者の便利安全,職員勤務体勢の便利さがある。じじつ使い捨て物品がもっとも普及しつつある米国の病院においても,直接のコスト減少をもたらした完全な調査報告は見られず,長期間の経済的節減として,専門職種職員の時間節減による本来業務への専念による効果が強調されている現状である。

ホスピタルトピックス 給食管理

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 私が国立病院にいる頃,すなわち15,6年以前治療食の基準を考えた頃に,病院の一般食,特別食(治療食)の栄養量および食品などについて医師と栄養士の約束の食事を決めておくことが業務上非常に能率的であり,なお常にその基本の献立作成がなされるので急の場合にもまに合うので,薬局における約束処方箋のごとく約束食事せんと名づけ,大いに研究され,日本全国にその個所にわかったものが多くできて利用されるに至った。世界各国いずれもよく研究され,大いに参考にするものがある。ここにその一つオッタワ市民病院の治療食便覧がとどけられているので紹介することにする。これをみて非常に感心したことは,給食委員会栄養士の協力および理事長の理解のほどの強さなどである。

ホスピタルトピックス 特殊病院

ホンコンの精神病院 岩佐 金次郎
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 九龍地区のNew TerritoriesのCastle Paekに,この地名を冠したCastle Paek Hospital (漢字では,青山医院と書く)と呼ばれている,唯一の精神病院があって,香港政庁が管理している。

 Castle Paekは,九龍の中心部から約20哩離れており,このへんの丘陵が海に迫っている地帯を,西北へ回って大陸国境へ通じている街道に沿った,小部落である。開発されて数年にしかならないこのへんは,市内近くにあるビール工場,外洋の景色が展けて見渡たせる樹木の多い地区に散在する別荘風の建物,丘の中腹にできている香港九龍全域のための上水道の貯水池など,いずれも新しいものである。そして,青山医院もまた,ここに設けられてから,数年しか経っていない。

ブック・ガイド

病院管理・経営の本 一条 勝夫
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 「経営」というコトバは経理とか採算とかいった財務的な側面だけをさす場合と,さらに人事,事務,診療,看護やその他のいろいろな業務をふくめて病院全体の運営管理の方法を問題にする場合とがある。現在では,広義に解されるのがふつうである。このうち,後者の意味では,

霞ガ関だより

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 昭昭40年度の政府予算案は,昨年暮れに閣議で決定され,現在国会で審議中であるが,そのうち医療施設に関係のあるものの概要を,本年度予算と対比しながら説明すると,つぎのとおりである。

基本情報

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病院
24巻3号 (1965年3月)
電子版ISSN:1882-1383 印刷版ISSN:0385-2377 医学書院

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