ホスピタルトピックス 看護管理
看護教育の問題
山田 里津
1
1厚生省医務局看護課
pp.87-88
発行日 1965年3月1日
Published Date 1965/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202540
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毎日の緊張した生活の中に,少しでもうるおいをもちたいと手芸店からかわいい縫ぐるみの動物セットを求めた。テレビを見ながら2時間あまりででき上がった熊や犬はじつにかわいい。
どの一つをみても表情は豊かで愛らしい。中学生の長女がすっかり喜んでこのごろは勉強そこのけで熱中している。つぎつぎにでき上がるこのおどけたマスコットも,数を重ねるごとに手際のよいすっきりしたものとなる。この縫ぐるみのデザインや型紙を考案した人の創造性や想像力を考えるとき,看護婦教育においても,ただ教科書にあることを全部覚え,看護技術が上手にできても,原理,応用力,創造的な活力がのばさなければ意味はない。与えられた型紙どおりに縫い合わせる縫いぐるみと少しも変わらない。いったい看護婦像とはどういうものを要求しているのだろうか。その者にはどのような教育が必要なのだろうか。このことは多くの識者により語りつくされ,今さらここで論をまつまでもないが,つまるところは,人間を主題にした業務であり,患者を病人としてのみとらえるのでなく,人間としてとらえ,その中にヒューマニズムを必要とし,さらに病気から立ち上がろうとする人間を観察洞察し,社会復帰をさせる役割をもつのであって,単なる「職人的技術」教育でなく,専門職業としての知識,技術教育を与えるべきである。技術教育に不可欠な「実習」は多くの問題をもっている。
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