関節外科　基礎と臨床 41巻10号 (2022年10月発行)

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特集　運動器疾患に対する体外衝撃波治療

introduction 岩堀　裕介 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1037-1037

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体外衝撃波の基礎研究見目　智紀 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1038-1045

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体外衝撃波には足底腱膜炎などに使われる集束型と，筋筋膜性腰痛などに使われる拡散型の2種類がある。その治療メカニズムは衝撃波照射で起きるmicroinjuryによる組織修復機点の発現，物理的刺激が細胞にmechanotransductionを誘導し，抗炎症，鎮痛，組織修復を促進，知覚神経終末の破壊による即時的な鎮痛効果，組織の血流上昇による修復効率の上昇が挙げられる。

骨折後遷延癒合・偽関節に対する体外衝撃波治療落合　信靖 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1046-1052

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骨折後の偽関節に対する体外衝撃波治療は古くから欧米を中心に報告されている。わが国でも現在，骨折後の遷延癒合，偽関節に対する体外衝撃波治療が施行され，ある程度固定性が得られている場合は有効である可能性が高く，再手術を行う前に検討してもよい治療法と考えられた。

膝疾患に対する体外衝撃波治療高橋　謙二 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1053-1064

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膝疾患に対する体外衝撃波治療では，膝蓋腱炎，鵞足炎などの難治性の腱症や，近年では変形性膝関節症に対する有効性の報告が増えている。除痛や機能改善のみならず，骨髄浮腫のような軟骨下骨病変に対しても有効で，軟骨障害を防御したり骨壊死への進行予防の効果も認められる。また，骨切り術後のヒンジ骨折や偽関節に対する有用性も高い。本稿では，文献的考察を中心に症例も供覧したい。

肩関節疾患　石灰化腱炎平田　正純 , 市野　義信 , 久保　貴敬 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1065-1069

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肩石灰化腱炎の亜急性期・慢性期のインピンジメント症状に対する新しい治療に体外衝撃波治療がある。衝撃波には集束型衝撃波と拡散型圧力波がある。肩石灰化腱炎に対して拡散型圧力波治療と超音波ガイド下吸引・肩峰下滑液包へのステロイド注射を併用した治療を行い良好な成績を得た。肩石灰化腱炎に対して有用な治療法の1つと考える。

上腕骨外側・内側上顆炎に対する体外衝撃波治療の実際梶田　幸宏 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1070-1077

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保存療法に抵抗する難治性の上腕骨外側・内側上顆炎に対する体外衝撃波（集束型衝撃波）を用いた治療は，照射による合併症は少なく，おおむね成績は良好と考えられ，手術を検討する前に行うとよい治療法である。体外衝撃波の効果が乏しい症例は，上腕骨外側上顆炎では関節内病変・短橈側手根伸筋起始部の断裂，内側上顆炎では尺骨神経症状が関与している可能性がある。

肘関節疾患　上腕骨小頭離断性骨軟骨炎松浦　哲也 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1078-1083

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体外衝撃波治療は，上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対する新たな治療法となりうる可能性がある。本稿では体外衝撃波治療の適応，プロトコール，照射方法と治療成績について述べる。今後の課題として，プロトコールの確立や修復メカニズムの解明などが挙げられる。これらの課題を解決できれば，治療体系のなかでの位置付けが明確になると思われる。

野球による肘内側障害および後方障害に対する体外衝撃波治療の実際玉置　大恵 , 高橋　憲正 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1084-1090

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野球による肘内側および後方障害に対しては，肩甲胸郭機能改善を目的とした理学療法に加え，衝撃波治療を併用することで，早期の疼痛改善や競技復帰が期待できる。

ばね指に対する体外衝撃波治療の実際瀬戸口　芳正 , 西村　明展 , 中野　貴公 , 保田　貴三 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1092-1099

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ばね指に対する体外衝撃波治療（extracorporeal shock wave therapy；ESWT）は弾発消失まで至るのは3割程度であるが，多くの症例で疼痛が緩和する有用な治療法であった。治療成績に影響を与える因子として罹患期間が半年以上であったり，基礎疾患として糖尿病を有しているとESWTの治療成績が低下していた。また，ステロイド注射をすでに施行されていた症例でも治療成績は低下しなかったことから，ステロイド注射で効果がない，もしくは注射で一時症状軽減も再燃した症例などにも十分に効果を望める有用な治療法と考えられた。

アキレス腱障害に対する体外衝撃波治療の実際小林　佑介 , 杉岡　辰哉 , 奥野　修司 , 熊井　司 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1100-1110

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アキレス腱障害に対する体外衝撃波治療は，除痛に対して有効であり広く実施されている。治療には，集束型体外衝撃波および拡散型圧力波が使用され，各種運動療法との併用も効果的とされ，それらの介入方法について述べる。

肩関節周辺神経障害に対する集束型体外衝撃波治療の効果伊藤　岳史 , 岩堀　裕介 , 花村　浩克 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1112-1117

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体外衝撃波治療を神経障害に用いた報告は手根管症候群に対するものが主であり，肩関節周辺神経障害に対しては報告がない。四辺形間隙症候群および胸郭出口症候群に対して集束型体外衝撃波治療（focused shock wave；FSW）の照射を試みた自験例では除痛効果が得られる傾向があったが，症例が少なく有効性は明らかではない。神経修復が得られるとする基礎研究もあり，今後のさらなる調査が期待される。

関節拘縮に対する拡散型圧力波の実際水谷　仁一 , 岩堀　裕介 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1118-1128

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拡散型圧力波（radial pressure wave；RPW）は圧縮した空気の力により，深さ20　mm程度まで圧力波を確実に照射することが可能とされている。RPWを従来の理学療法と併用することにより，理学療法単独ではこれまで苦慮していた関節包などの深層組織の治療に対しても有効な手段となる可能性がある。本稿では，肘関節拘縮，膝関節拘縮，凍結肩に対するRPWの具体的な方法について概説する。

体外衝撃波治療の筋損傷への応用の可能性金森　章浩 , 田中　健太 , 西田　勇亮 , 兵頭　康次郎 , 山崎　正志 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1129-1134

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筋損傷はスポーツ外傷で多くみられ，早期復帰のための治療法が模索されている。体外衝撃波治療を筋損傷の治療手段として用いる試みについて動物実験や臨床研究について述べる。

難治性皮膚障害野口　幸志 , 村上　秀孝 , 杉山　卓郎 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1135-1141

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体外衝撃波治療（extracorporeal shock wave therapy；ESWT）は，整形外科領域において骨折の遷延治癒や偽関節をはじめ筋腱付着部障害へと用いられてきたが，近年，難治性皮膚障害の治癒促進に応用されている。本稿ではESWTの作用機序，照射方法について解説し，創傷治癒が遷延化しやすい四肢末端の治療の実際について自験例を紹介する。

連載　話したくなる　整形外科　人物・用語ものがたり

第3回

「Dupuytren拘縮：あんなにいっぱいあったのに，今はこれだけ？」小橋　由紋子 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1142-1143

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Baron Guillaume Dupuytren（1777～1835）は19世紀を代表するフランスの医師である。彼の医者としての功績は幅広い。G. Androutsos1）らによると，彼の医師としての業績は“Dupuytren”と名前を冠しているものだけで少なくとも19個は存在する。

連載　先生，そのエビデンス教えてください！

第6回

「骨粗鬆症に対するかかと落としとは何ですか？」宮城　正行 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1144-1145

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骨粗鬆症に対する薬物治療がめざましい進歩を遂げている昨今，さらなる高い治療効果を目指して運動療法にも注目が集まっています。骨粗鬆症の運動療法についてはジョギング，筋力トレーニングなどが効果的であることが明らかにはなっているものの，骨粗鬆症をもつ高齢者にとって運動強度をコントロールして有効性と安全性を両立することは意外に難しいのが現状です。かかと落としは，Bassey EJとRamsdale SJ1）によって1995年に報告された運動療法の1つであり，“heal drop”として紹介されました。この方法は特別な器具を必要とすることなく簡便に行うことができ，高齢者でも比較的安全に行えるという点で広く浸透している運動療法といえます。特にわが国でも新型コロナウイルス感染拡大を経験し，在宅でも手軽に行えるかかと落としは骨粗鬆症に対する運動療法としてさらに注目されています。

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目次 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1034-1035

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学会案内・お知らせ 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1148-1148

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バックナンバー・次号予告 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1150-1150

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投稿・執筆規定 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1151-1151

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編集後記 41巻10号 , 2022年10月 , pp.1152-1152

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基本情報

関節外科　基礎と臨床
41巻10号
(2022年10月発行)

電子版ISSN：2423-9666 印刷版ISSN：0286-5394 メジカルビュー社

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