麻酔 73巻4号 (2024年4月発行)

選択した文献の文献概要を表示する書誌情報をダウンロードする

すべて選択

巻頭言

AIと医学雑誌原　哲也 73巻4号 , 2024年4月 , pp.223-223

PDF(140KB)

有料閲覧

原著

ロクロニウム臭化物静注液「マルイシ」の作用発現時間：エスラックス^®治験データとの比較中川　理子 , 村田　雄哉 , 丸尾　和司 , 大東　智洋 , 成田　聖門 , 山下　創一郎 , 田中　誠 73巻4号 , 2024年4月 , pp.224-228

PDF(486KB)

有料閲覧

文献概要を表示

要旨

　エスラックス^®（MSD，先発品）の後発医薬品であるロクロニウム臭化物静注液「マルイシ」（丸石製薬，後発品）は，先発品と同様の薬効が見込まれているが，それを裏付けるデータはない。今回，後発品の作用発現時間を調査し，先発品の治験データと比較検討した。後発品調査は，先発品の治験と同様に対象患者を定め，データを取得した。

　後発品の作用発現時間は，先発品と比較し0.6mg・kg⁻¹群で長かった（84.6±29.5秒 vs 146.0±71.3秒，P＜0.001）が，0.9mg・kg⁻¹群では有意差はなかった（77.1±27.5秒 vs 90.5±28.9秒，P＝0.071）。

禁煙専門機関を介さない周術期外来での禁煙指導のみによる術前禁煙遵守効果：単施設後ろ向き観察研究大岩　雅彦 , 藤代　聖子 , 狩野　和香奈 , 吉松　薫 , 西村　健吾 , 若林　隆信 73巻4号 , 2024年4月 , pp.229-232

PDF(397KB)

有料閲覧

文献概要を表示

要旨

　本研究は，禁煙専門機関を介さない周術期外来での禁煙指導のみによる術前禁煙遵守効果を検討した単施設後ろ向き観察研究である。禁煙指導による術前禁煙遵守率は61％で，1日あたりの喫煙本数は，禁煙遵守群と比較して禁煙非遵守群で有意に多かった。1日あたりの喫煙本数による術前禁煙遵守予測能は，15本をカットオフ値とすると，感度86％，特異度42％であった。周術期外来での禁煙指導のみで過半数が術前禁煙につながった。しかし，1日あたりの喫煙本数が多い症例は，禁煙指導のみでは禁煙を遵守できず，1日あたり15本以上の喫煙本数は，禁煙専門機関へ紹介・接続する指標にできる可能性が示唆された。

日本麻酔科学会年次学術集会における一般演題数の推移と要因木下　倫子 , 鈴木　奈央 , 田中　克哉 73巻4号 , 2024年4月 , pp.233-237

PDF(1000KB)

有料閲覧

文献概要を表示

要旨

　日本麻酔科学会年次学術集会の一般演題数の減少が指摘されているが，その詳細を調査した研究はない。本研究は，2017年度から2023年度にかけて，年次学術集会の一般演題数の推移を，演者の所属および研究の種類別に調査した。

　2017-2021年度にかけて演題数は半数以下に急減した。所属別では，大学以外の施設に所属する演者の減少が顕著であった。研究種類別では，“ヒトを対象とする医学研究” および “動物または細胞等を対象とする医学研究” の減少が顕著であった。2022年度以降は演題数の回復傾向が見られたが，以前の水準にはまだ達していなかった。演題数減少に対し，要因に応じて適切な対策を講じる必要がある。

症例報告

重度の肺気腫を伴う気胸に対して全身麻酔下にV-V ECMOを導入し肺部分切除を行った1症例齋藤　毬子 , 尾頭　希代子 , 染井　將行 , 佐々木　友美 , 杉山　晴香 , 山口　純可 , 武井　秀史 , 丸田　一人 , 庄野　敦子 , 大江　克憲 73巻4号 , 2024年4月 , pp.238-243

PDF(1276KB)

有料閲覧

文献概要を表示

要旨

　重度の肺気腫を合併した続発性気胸の手術において，静脈脱血静脈送血体外式膜型人工肺（veno-venous extracorporeal membrane oxygenation：V-V ECMO）を併用し，麻酔管理を行った。抗凝固薬の全身投与は行わなかった。手術時間は8時間6分，出血量は1,734gに及んだがECMO流量は維持され，酸素化も良好であった。血栓性合併症は生じなかった。手術終了後，速やかにECMOを離脱した。

両側胸水を認めた黄色爪症候群に対する胸腔鏡下胸膜生検術の麻酔経験梅本　みずき , 平澤　美代子 , 鈴木　雄大 , 竹中　恭一郎 , 山田　悠輔 , 松田　光正 , 伊藤　健二 , 鈴木　武志 73巻4号 , 2024年4月 , pp.244-247

PDF(706KB)

有料閲覧

文献概要を表示

要旨

　両側大量胸水を伴う黄色爪症候群に対する胸腔鏡下胸膜生検を硬膜外麻酔併用全身麻酔で行った。術前に術中換気側である左胸腔ドレナージを行い，術中の動脈血酸素飽和度の低下なく手術を終えた。硬膜外麻酔を併用し十分な鎮痛効果を得ることで，術後呼吸状態の悪化なく経過した。

ロボット支援腎部分切除術中に肺塞栓を生じ，両心室にガスを認めた1症例角南　昇吾 , 藤井　啓介 , 川股　知之 73巻4号 , 2024年4月 , pp.248-252

PDF(1047KB)

有料閲覧

文献概要を表示

要旨

　ロボット支援腎部分切除術中に肺塞栓を疑い，経食道心エコー検査を行ったところ両心室にガス像を認めた。術後，左心系へ流入したガスによる合併症はなかった。右左短路の心臓の構造異常がなくとも右心系から左心系へ二酸化炭素が流入することがあり，気腹手術では肺塞栓だけでなく奇異性塞栓にも注意する必要がある。

先行留置した中心静脈カテーテルを誤って穿通した1症例五藤　凌志 , 中西　和雄 , 藤谷　太郎 , 阿部　尚紀 , 西原　佑 , 萬家　俊博 73巻4号 , 2024年4月 , pp.253-256

PDF(985KB)

有料閲覧

文献概要を表示

要旨

　先行留置した中心静脈カテーテル（central venous catheter：CVC）と同一部位から一時的ペーシングリードの追加穿刺を行い，CVCを穿通した症例を経験した。同一部位から穿刺する場合は先行留置したCVCを損傷しないために，超音波とX線透視の併用下に，穿刺血管，CVC，穿刺針，ガイドワイヤーなどすべてを視認しながら施行する必要がある。

経鼻的局所麻酔薬浸潤による翼口蓋神経節ブロックが有効であった小児の慢性頭痛1症例城戸　美穂 , 間嶋　望 , 南　敏明 73巻4号 , 2024年4月 , pp.257-261

PDF(1105KB)

有料閲覧

文献概要を表示

要旨

　近年，成人の慢性頭痛や硬膜穿刺後頭痛の治療法の一つとして経鼻的局所麻酔薬浸潤による翼口蓋神経節ブロックの有用性が報告されている。今回，小児の脳脊髄液漏出症が疑われた慢性頭痛で薬物治療の効果が乏しく，経鼻的局所麻酔薬浸潤による翼口蓋神経節ブロックが有効であった1症例を経験したので報告する。

動脈性出血の併存によって肺塞栓症の診断に難渋した緊急止血術の1症例川原　友望 , 栗田　昭英 , 谷口　巧 73巻4号 , 2024年4月 , pp.262-267

PDF(1584KB)

有料閲覧

文献概要を表示

要旨

　肺塞栓症はショックに至る病態であるが，全身麻酔下では症状がマスクされるため，診断に難渋することがある。われわれは術後出血の症例に発生したショックの原因として，当初出血性ショックを想定していたため肺塞栓の診断に難渋した症例を経験した。

　ショックの原因は併存しうることを念頭に置き，治療法を選択する必要がある。

分娩後の大量出血に対して集学的治療を要した妊娠高血圧腎症の1症例杢野　美友子 , 日下　裕介 , 山崎　紘幸 , 上野　健史 , 梅垣　修 , 南　敏明 73巻4号 , 2024年4月 , pp.268-272

PDF(555KB)

有料閲覧

文献概要を表示

要旨

　症例は35歳，女性，妊娠34週に血圧管理目的で入院となり，精査で妊娠高血圧腎症（preeclampsia：PE）と診断された。妊娠37週に分娩後に大量出血を来し，HELLP症候群と診断され，術後は集中治療室（intensive care unit：ICU）に入室となった。ICU入室後に腎機能悪化を認め，術後早期に腎代替療法を導入し，術後14日後に大きな後遺症なく軽快退院に至った。

脳梗塞入院中に未診断の原発性副甲状腺機能亢進症に合併した副甲状腺クリーゼ症例小林　寛基 , 石田　和慶 73巻4号 , 2024年4月 , pp.273-277

PDF(554KB)

有料閲覧

文献概要を表示

要旨

　脳梗塞入院中の73歳男性が，未診断の原発性副甲状腺機能亢進症（primary hyperparathyroidism：pHPT）に合併した副甲状腺クリーゼを発症した。副甲状腺クリーゼは，高カルシウム（Ca）クリーゼを呈する緊急疾患である。高Caクリーゼへの集学的治療後に副甲状腺摘出術が実施された。pHPTでは，副甲状腺クリーゼの発症に注意する必要がある。

紹介

アニメーション動画を用いた麻酔説明が無痛分娩前の妊婦の不安に与える影響について堺　結有 , 松田　優子 , 長嶺　祐介 , 平本　綾子 , 山本　さおり , 片倉　友美 , 新井　悠介 , 日暮　亜矢 , 若山　洋美 , 赤松　千加 , 岩田　亜貴子 , 倉澤　健太郎 , 後藤　隆久 73巻4号 , 2024年4月 , pp.278-285

PDF(1670KB)

有料閲覧

文献概要を表示

要旨

　妊娠中の不安は，周産期の母体のメンタルヘルスに重大な影響を与えうる。無痛分娩の麻酔に関する説明動画を視聴することで妊婦の不安が軽減するか観察研究で検討した。無痛分娩を行う予定の18歳以上の妊婦を対象とし，オリジナルで作成した無痛分娩の麻酔に関する説明動画を分娩誘発前日に視聴した。動画視聴の前後でhospital anxiety and depression scale（HADS）への回答を依頼し，その不安項目（HADS-A）の変化を主要評価項目とした。15名の妊婦を対象に解析を行い，麻酔の説明動画の視聴前後でHADS-Aのスコアに有意な差は認めなかったが低下する傾向が見られた。

--------------------

目次 73巻4号 , 2024年4月

PDF(168KB)

フリーアクセス

英文目次 73巻4号 , 2024年4月

PDF(133KB)

フリーアクセス

外国文献紹介 73巻4号 , 2024年4月 , pp.286-287

PDF(261KB)

フリーアクセス

投稿規定 73巻4号 , 2024年4月 , pp.288-293

PDF(668KB)

フリーアクセス

ニュース 73巻4号 , 2024年4月 , pp.294-294

PDF(109KB)

フリーアクセス

奥付 73巻4号 , 2024年4月 , pp.295-295

PDF(250KB)

フリーアクセス

定期購読申込みシート 73巻4号 , 2024年4月

PDF(289KB)

フリーアクセス

基本情報

麻酔
73巻4号
(2024年4月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0021-4892 克誠堂出版

お気に入り登録(雑誌)
お気に入り登録(号)
最新号をみる

バックナンバー ( 閲覧可 )

文献閲覧数ランキング(
10月20日～10月26日
)

第1位ダブルルーメンチューブの基礎と使用上のポイント青山和義麻酔 74巻 10号 pp. 629-634 (2025年10月10日) 克誠堂出版
第2位気管支ブロッカーの秘訣とコツ吉村達也麻酔 74巻 10号 pp. 646-651 (2025年10月10日) 克誠堂出版
第3位緒言とまとめ：困難を克服する実践的アプローチ中山禎人麻酔 74巻 10号 pp. 626-628 (2025年10月10日) 克誠堂出版
第4位脊髄空洞症を伴うアーノルド･キアリ奇形I型術後の無痛分娩麻酔経験佐藤聖子,千々岩絵里子,大脇涼子,東みどり子,秋吉浩三郎麻酔 70巻 8号 pp. 844-848 (2021年8月10日) 克誠堂出版
第5位地方大学から見た日本の麻酔科の未来外山裕章麻酔 74巻 10号 pp. 625-625 (2025年10月10日) 克誠堂出版
第6位アップデート：どうする，手術中のペースメーカ設定寺田裕作,下川亮,宮下徹也麻酔 73巻 13号 pp. S127-S134 (2024年11月20日) 克誠堂出版
第7位小児の分離肺換気名和由布子麻酔 74巻 10号 pp. 652-659 (2025年10月10日) 克誠堂出版
第8位頭部外傷，脳出血の凝固・止血管理up-to-date 早水真理子,和田剛志麻酔 74巻 7号 pp. 455-462 (2025年7月10日) 克誠堂出版
第9位特殊な症例の分離肺換気：気管切開孔，気管気管支，気管壊死，気管断裂，気管支皮膚瘻外山裕章麻酔 74巻 10号 pp. 660-671 (2025年10月10日) 克誠堂出版
第10位右用ダブルルーメンチューブを極める川越いづみ麻酔 74巻 10号 pp. 635-645 (2025年10月10日) 克誠堂出版