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内容のポイント Q&A
Q1 疾患の病態と自然経過は?
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は上位・下位運動ニューロンが進行性に障害される神経変性疾患である.蛋白質の分解障害や,グルタミン酸による興奮性毒性,酸化ストレス等が病態に関与するといわれているが,完全には解明されていない.経過は進行性で致死的であり,発症から死亡もしくは換気補助が必要になるまでの期間の中央値は32~48カ月とされるが,経過には相当な個人差がある.根本治療はなく,早期段階での介入が有効性を最大化する鍵となる.
Q2 従来の薬物療法とその効果,副作用,使用状況は?
リルゾールはグルタミン酸放出を抑制し,生存期間を延長する標準治療薬である.副作用に肝酵素上昇があり定期的なモニタリングを要する.エダラボンは抗酸化作用を有し,改訂ALS機能評価尺度(ALSFRS-R)の低下を抑制する.副作用は稀に急性腎不全が報告されている.これらはALSの診断後にまず使用する薬である.
Q3 新しい薬物治療とその効果,副作用,普及の可能性は?
高用量メコバラミンは,発症1年以内の早期例でALSFRS-Rの低下を抑制することが示され,2024年に承認された.安全性は高いが,供給制限が課題である.トフェルセンはSOD1遺伝子に病的バリアントを有するALSを標的とした核酸医薬である.当初,ニューロフィラメント軽鎖(NfL)の低下に基づき承認され,2025年には長期投与における有意な進行抑制と生存延長効果も報告された.一方,約7%に脊髄炎等の重篤な副作用がみられる.ボツリヌス毒素注入は慢性流涎症を改善するが,口渇等の副作用がある.
Q4 新しい薬物治療のADL,QOL,リハビリテーション治療への影響は?
高用量メコバラミンは週2回の筋肉内注射の継続が必要であり,注射シリンジへの薬液の充填がやや困難である.トフェルセンは,4週間ごとの髄腔内投与が必要なためその都度通院と腰椎穿刺が必要となる.ボツリヌス毒素注入は慢性流涎症を改善し,誤嚥性肺炎リスク低減とQOL向上に寄与する.これらの薬物療法はリハビリテーション治療の併用によって,機能維持に寄与すると考えられる.
Q5 今後の薬物治療進歩の可能性は?
ALSは世界的にみても最も治験薬の開発が盛んな疾患といえる.iPS細胞を用いた既存薬スクリーニングにより見出されたボスチニブやロピニロールについては,第Ⅲ相試験が準備されている.家族性ALSに対しては,FUS遺伝子バリアントを有するALSへの遺伝子治療において一部の患者で有効性が示された.また未発症SOD1キャリアに対する発症予防効果を検証する治験(ATLAS試験)も進行中である.

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