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連載 医療にいかす行動経済学・Vol.23
医療安全と行動経済学
-――「注意してください」を超えて,行動を支える安全へ
Patient safety and behavioral economics:Moving beyond “Be Careful” to designing systems that support safe behavior
辰巳 陽一
1,2,3,4
Yoichi TATSUMI
1,2,3,4
1徳洲会病院グループ医療安全管理部門
2八尾徳洲会総合病院医療安全管理部
3近畿大学医学部
4同病院
キーワード:
医療安全
,
行動経済学
,
認知バイアス
,
システム1.5
,
選択アーキテクチャ
Keyword:
医療安全
,
行動経済学
,
認知バイアス
,
システム1.5
,
選択アーキテクチャ
pp.573-580
発行日 2026年8月22日
Published Date 2026/8/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu298080573
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- 参考文献 Reference
SUMMARY
医療安全の目的は,事故ゼロを安易に約束することではなく,複雑で不確実な医療の現実を直視し,事故を1%でも減らす努力を継続することにある.しかし,ルールや教育,注意喚起だけでは,安全行動が常に実行されるとは限らない.行動経済学は,人間の限定合理性と認知バイアスを前提に,正しいと理解していても行動できない理由を,現場のボトルネックから捉える.医療安全への応用には,システム1の特性をふまえて安全な行動が自然に選ばれやすい環境を設計する方向と,自動的な行動の要所に短い停止と確認を組み込む方向がある.後者を本稿では「システム1.5」的介入と表現し,STARなどを具体例として示した.また,画像所見の見落としや食道挿管の事例を分析し,ナッジ,デフォルト,スラッジ削減,強制機能を使い分ける必要性を論じた.医療安全管理者には,個人を責めるのではなく,安全行動と発言しやすい環境を現場とともに設計する役割が求められる.

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