Japanese
English
連載 医療システムの質・効率・公正――医療経済学の新たな展開・Vol.18
保健医療の経済学と行動経済学
Economics and behavioral economics of health care
後藤 励
1
Rei GOTO
1
1慶應義塾大学大学院経営管理研究科,同健康マネジメント研究科
キーワード:
合理性
,
ヒューリスティクス
,
認知バイアス
,
モラルハザード
,
行動ハザード
Keyword:
合理性
,
ヒューリスティクス
,
認知バイアス
,
モラルハザード
,
行動ハザード
pp.789-794
発行日 2023年12月9日
Published Date 2023/12/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28710789
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Summary
従来の経済学では,経済主体の合理性を出発点として理論を構築し,社会の望ましさ(社会厚生)について何らかの示唆が得られることを重視してきた.一方,行動経済学では,系統的な意思決定の誤りや非合理性に注目する.こうした誤りは日常的な直感を重視した速い意思決定の時に起こりやすいため,健康に関しても日常の生活習慣の意思決定で将来の健康や疾患のリスクを十分に考えないという行動について,行動経済学の知見が利用されてきた.また,人間の非合理性を逆に利用したデフォルト設定の変更やナッジ等の介入手法も試されている.さらに最近では,患者の医療サービス需要について非合理性ゆえの過小需要を前提とした理論構築や,医師の医療技術選択についても行動経済学の応用が進んでいる.
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