Japanese
English
連載 医療にいかす行動経済学・Vol.17
小児緩和ケアにおける行動経済学とナッジの応用
Leveraging behavioral economics and nudges for paediatric palliative care
多田羅 竜平
1
Ryohei TATARA
1
1大阪市立総合医療センター 緩和ケア内科・緩和ケアセンター
キーワード:
小児緩和ケア
,
コミュニケーション
,
代理意思決定
,
行動経済学
,
ナッジ
Keyword:
小児緩和ケア
,
コミュニケーション
,
代理意思決定
,
行動経済学
,
ナッジ
pp.1133-1139
発行日 2026年6月20日
Published Date 2026/6/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu297121133
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SUMMARY
小児緩和ケアにおいて意思決定支援は中核的役割を担うが,終末期には深刻な心理的葛藤が生じる.本稿では行動経済学の知見を用い,親と子どもの意思決定における認知バイアスとナッジの活用を検討した.親の代理意思決定では,現状維持バイアスや不作為バイアス,損失回避が強く作用し,本来の「子どもの最善」から乖離するリスクがある.これに対し,ケアを利得と捉え直すリフレーミングやデフォルト提示,事前合意等のナッジは,親の心理的重圧を分散し,納得感のある選択を支える.一方,発達段階にある子どもには現在バイアス等が顕著だが,即時的報酬やマイクロ・チョイスにより主体性を引き出すことが期待できる.ただし,ナッジは操作の手段ではなく,「子どもの最善の利益」を最優先とし,認知バイアス等で狭まった視野を広げ,困難な状況下での自律的選択を支える補助手段として位置づけるべきである.

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