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特集 ファージ療法とファージ創薬の新展開 基礎・臨床・工学・政策を結ぶ総合レビュー
ファージ生物学の基礎と最新知見
Basics and recent advances in phage biology
藤本 康介
1,2,3
,
植松 智
2,3
Kosuke FUJIMOTO
1,2,3
,
Satoshi UEMATSU
2,3
1大阪大学微生物病研究所微生物制御学分野
2大阪公立大学大学院医学研究科ゲノム免疫学
3東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センターメタゲノム医学分野
キーワード:
バクテリオファージ
,
ファージ療法
,
溶菌性サイクル
,
溶原性サイクル
Keyword:
バクテリオファージ
,
ファージ療法
,
溶菌性サイクル
,
溶原性サイクル
pp.1077-1082
発行日 2026年6月20日
Published Date 2026/6/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu297121077
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- 参考文献 Reference
1980年代以降,薬剤耐性菌の拡大に伴い,感染症による死亡者数は増加傾向にあり,2050年には年間1,000万人に達すると予測されている.世界保健機関(WHO)は多剤耐性菌を重要な病原体と位置づけ,経済的損失も甚大である.このような背景から,特定の細菌に選択的に感染・増殖・溶解するファージ療法への関心が高まっている.ファージは抗菌薬と異なり常在菌への影響が限定的であり,2010年代以降はファージライブラリーの整備や臨床試験が進展するとともに,“One Health” の観点から環境改善や食品安全への応用も検討されている.ファージは形態や遺伝物質の違いにより分類され,生活環は溶菌性と溶原性に大別される.テンペレートファージは両方の生活環を持ち,宿主細菌内での長期維持と環境応答的増殖を可能にする.感染には宿主受容体との特異的結合が必須であり,細菌は受容体変異,制限修飾(R-M)システム,CRISPR-Casシステム,アボーティブ感染など,多様な防御機構を進化させる.一方,ファージは受容体結合タンパク質の多様化やDNA修飾,抗CRISPR因子の発現などの回避戦略を発達させ,両者は共進化の “軍拡競争” を繰り返すことで遺伝的多様性と適応を促進する.この共進化の理解は,ファージ療法における効果的なカクテル設計や耐性進化の監視・管理に不可欠であり,持続的な感染症制御およびバイオテクノロジー応用の理論的基盤を提供する.

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