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第1土曜特集 腸内フローラの研究進展と臨床応用
基礎研究の進展
バクテリオファージと腸内細菌
Bacteriophage and gut microbiota
藤本 康介
1,2
,
植松 智
1,2
Kosuke FUJIMOTO
1,2
,
Satoshi UEMATSU
1,2
1大阪公立大学大学院医学研究科ゲノム免疫学
2東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センターメタゲノム医学分野
キーワード:
バクテリオファージ
,
腸内共生病原菌
,
ファージ療法
,
エンドライシン
Keyword:
バクテリオファージ
,
腸内共生病原菌
,
ファージ療法
,
エンドライシン
pp.345-349
発行日 2024年11月2日
Published Date 2024/11/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291050345
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次世代シークエンサーを用いたゲノム解析技術の向上により,腸内細菌叢の構成異常が多くの疾患で明らかとなってきた.また,疾患の発症や重症化に直接関与する腸内共生病原菌が多くの疾患で同定され,その特異的な制御が強く望まれている.しかし,抗菌薬は有益な細菌まで殺傷してしまう可能性があるため,腸内共生病原菌の制御には適していない.ヒト腸管には多くのウイルスが常在し共生しているが,そのほとんどはヒト細胞に感染するウイルスではなく,腸内細菌に感染するバクテリオファージ(ファージ)である.ファージは宿主細菌に対する特異性が非常に高いため,ファージ療法は腸内共生病原菌の制御に有用であると考えられている.しかし,腸管は特殊な嫌気性環境であり,宿主細菌を単離・培養できなければその細菌に感染するファージを単離することはできない.本稿では,メタゲノムデータを活用した腸内ファージ解析の重要性をまとめ,ファージが持つ溶菌酵素を用いた新しい腸内細菌の制御法について,筆者らの最新の知見を含めて概説する.
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