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は じ め に
大腿骨遠位部骨折(distal femur fracture:DFF)の観血的整復内固定術(open reduction internal fixation:ORIF)としては,受傷前の下肢アライメントを再現し関節面の解剖学的整復を獲得することが重要で,それにより早期に膝関節可動域(range of motion:ROM)訓練と歩行訓練が開始されなければならない.現在では,内固定に使用するインプラントはロッキングプレート(locking plate:LP)と逆行性髄内釘(retrograde intramedullary nail:RIMN)が一般的である.自施設の検討ではAO/OTA分類type 33C2またはtype C3にLPを使用した場合,従来のプレート固定よりも合併症は減少した1).そして現在にいたるまで,34例のAO/OTA分類type 33Aまたはtype 33Cの開放骨折を経験している.これら34例の内固定は,従来のプレート(non-LP)を用いて固定した1例を除き全例外側LPまたはRIMNで治療した.感染は81歳の透析患者1例にみられたがデブリドマンで治癒し,その後4年間は再燃がなかった.ほかに内反変形が1例,遷延癒合・偽関節は6例(予期せぬ偽関節はnon-LPを用いた1例)にみられた.遷延癒合・偽関節の4例は内側LPの追加固定と自家骨移植(3例は計画的にMasquelet法を施行),1例は外側LPによる再固定,1例は自家骨移植を行い全例で骨癒合を得た.なお,閉鎖DFFで偽関節にいたった症例はない.
一方で,LP,RIMNともにインプラント自体の機能性や治療戦略が進歩しているにもかかわらず,最近のシステマティックレビュー・メタアナリシスでDFFの固定後における偽関節発生率はLP 9.9%,RIMN 5.2%に達すると報告されている2).また,この報告では偽関節と感染症の発生率はRIMNが有意に低く,膝関節可動域はLP群が有意に良好で,平均骨癒合期間,全合併症,インプラント関連合併症,再手術率は統計学的に有意差がなかった2).またDFFをLPで固定した1,788例53研究のレビュー3)では,偽関節14.8%,変形癒合13%,固定失敗5.3%,感染3.7%,症状のあるインプラント3.1%と,再手術が必要となる合併症が発生するリスクは約20%であったとし,DFFはいまだ治療に難渋する骨折であるとことがわかる.このように現在でも解決されていない問題を抱えるDFFの治療において,長期成績から治療方針を考察する.

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