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は じ め に
2003年に報告された転位型大腿骨頚部骨折(femoral neck fracture:FNF)におけるメタアナリシスでは,人工物置換術(artificial replacement:AR)は内固定術(internal fixation:IF)と比較して再手術率は有意に低下するが,感染率,出血量,手術時間,早期死亡率が高くなる可能性が指摘された1).近年では高齢者(65歳以上)の転位型FNFであれば手術侵襲を考慮したうえでARを選択するのが一般的である.一方で若年者(40歳未満)の転位型FNFの場合は,偽関節(nonunion:NU),大腿骨頭壊死(osteonecrosis of the femoral head:ONFH),外傷後変形性股関節症(post-traumatic hip osteoarthritis:PTOA)を生じる可能性はあるものの,IFが治療の中心である.そして中高年(40~64歳)の転位型FNFに対しては,活動性や内科合併症といった生物学的年齢と,骨折そのものの重症度(頚部の粉砕など)を考慮して症例に応じて治療法が選択される.IFを選択した場合は,使用インプラントの選択が問題になる.骨折の再転位予防からみると,角度安定性を有するインプラントがより安心な印象があるが,Fixation using Alternative Implants for the Treatment of Hip fractures(FAITH)study(50歳以上の低エネルギー外傷)ではsliding hip screw(SHS)がmultiple cancellous screwと比較して再手術率が低下するわけではなかった2).
非転位型FNFの場合は,年齢にかかわらずIFが第一選択に考えられるかもしれないが,IF後に合併症を生じ再手術が必要になる症例が一定数存在することは問題で,特にサルベージ手術がARになる可能性が高い高齢者においては,手術法を決定する際に考慮すべき問題である.本稿では,長期にわたって追跡調査できたFNFの自験例を呈示し,長期成績に関する報告をまとめて考察した.

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