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は じ め に
大腿骨骨幹部骨折(femoral shaft fracture:FSF)に使用するインプラントは,髄内釘(intramedullary nail:IMN)がゴールドスタンダードである.IMNを挿入する際に注意するのは,正しいエントリーポイントの選択とその部位への非侵襲的な操作,そして解剖学的アライメントと脚長の再獲得である.順行性IMNの場合,以前は梨状窩をエントリーポイントとして挿入するストレートIMNが使用され,大腿骨長軸と髄内釘の軌跡が一致するため良好なアライメントを獲得しやすく骨癒合率も99%と高かった1).しかし,現在は大転子頂部からIMNを挿入することがほとんどであり,挿入は容易になったものの元来のアライメント再獲得や骨癒合に問題を生じる症例も若干増えてきたのではないかと感じる.実際2009年の報告2)では,FSFに対するIMNの偽関節率は10%未満,角状変形は近位部30%,遠位部10%でみられ,回旋変形も問題視されている.さらに,脚長差は43%,感染は1~3.8%にみられたとされている.また低~中所得国における2025年の報告3)では,偽関節5.6%,変形癒合20%,脚長差(0.5mm以上)3.5%,感染4.1%,膝拘縮8%,再骨折3.3%であった.機能成績としては,順行性IMN後の股関節周囲の疼痛や筋力低下,そして術後1年経過しても機能が十分に回復していないことなどが懸念される2).特に長期経過時の股関節や膝関節機能および経時的な外傷性関節症の進行とそれに伴った下肢機能成績は,FSFを治療していくうえで,注意深く経過観察する必要がある.本稿では長期にわたって追跡調査できたFSFの自験例を呈示し,長期成績に関する報告をまとめて考察した.

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