人工膝関節周囲大腿骨骨折の治療成績 -――骨粗鬆症治療の重要性

Clinical results of treatment for periprosthetic femoral fracture after total knee arthroplasty；importance of therapy for osteoporosis

は じ め に

　人工膝関節周囲大腿骨骨折は，人工膝関節全置換術（TKA）の重大な合併症の一つである．人工膝関節周囲大腿骨骨折は初回TKA後の0.3～2.5％，再置換TKA後の1.6～38％に発生するといわれている^1～3）．本骨折に対しては手術的治療が行われることが多いが，それによって骨折が治癒したとしても歩行能力の低下や可動域（ROM）制限による著しい日常生活動作（ADL）低下が起きることが報告されている^4）．一方，本骨折が発生する背景には骨粗鬆症との関連があるといわれているが，臨床的に人工膝関節周囲大腿骨骨折と骨粗鬆症について骨密度を含めて検討した研究は渉猟した限りない．

　本研究の目的は，われわれが経験した人工膝関節周囲大腿骨骨折14例の患者背景や治療経過を検討し，その成績と問題点について報告するとともに人工膝関節周囲大腿骨骨折と骨粗鬆症との関連について明らかにすることである．