世界初の複数温度提示IoTデバイス「ThermoScratch®（サーモスクラッチ）」の開発

痒みはアトピー性皮膚炎（AD），接触皮膚炎，蕁麻疹，虫刺咬，乾癬など幅広い皮膚疾患に伴う普遍的症候であり，睡眠障害，学業・就労生産性の低下，精神的ストレスの増大を通じて患者のQOLを顕著に損う^1）．薬物療法（外用ステロイド，カルシニューリン阻害薬，抗ヒスタミン薬など）が中心的手段であるが，長期安全性，反応性の個体差，費用，アドヒアランスといった課題が残る．とりわけ慢性痒みでは，薬理学的鎮痒に反応しにくいケースや，増悪・寛解を繰り返す経過の中で服薬・外用の持続が困難となる例も少なくない．このため，非薬物的アプローチの選択肢を拡充し，患者自己管理と併用可能な低侵襲な対策を整備する意義は大きい．