Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
鼻粘膜誘発試験は,鼻アレルギー発症アレルゲンの検索で,皮内テストと共に欠くことのできない検査法である。この誘発試験は,Dean1),Halpern2)によれば,1835年Kirkmanが種々の花粉症に対して行ったのが最初とされている。その後いろいろの方法で鼻粘膜の誘発が行われてきたが,なかでも抗原10倍液のスプレーや抗原粉末の添付といつた高濃度抗原による誘発が比較的広く用いられていた。しかしこれらの方法では鼻粘膜が広範囲に蒼白となったり,咽頭粘膜まで腫脹し,時には喘息を起こすといった欠点があった。こういった不備を改善し,今日では奥田ら3,4)により開発された鼻アレルギー診断用誘発ディスクが市販されるに及んで急速に普及している。しかし,市販品としての鼻粘膜誘発ディスクは,ハウスダスト(HD)とブタクサの2種類のみで,日常臨床の鼻アレルギー検査においても満足を得ない。従って抗原の抽出を行う特別の施設を除いて,多くの臨床医はHDとブタクサ以外の発症アレルゲンの決定には,問診と皮内テストに頼っているのが現状であろう。われわれは皮内テスト用エキスに比較して濃度の濃い診断用スクラッチエキスを濾紙(ディスク)に滲ませて鼻粘膜誘発試験を行ってきたので,その成績を報告する。
Nasal provocation test using allergen extractsfor skin scratch test was carried out in 454 patients with nasal allergy. A positive result was obtained in 176 of 208 (85%) patients with house dust allergy, 175 of 205 (85%) with Japanese cedar pollinosis, 50 of 52 (96%) patients with alternaria allergy, 32 of 33 (97%) patients with pollinosis of cockfoot or common ragweed, and 18 of 19 (95%) patients with candida allergy.
This study proved the usefulness and convenience of this test in the diagnosis of nasal allergy.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.