連載 こころのフューチャー・デザイン―「未来人」からみた現代の精神医学
総ひきこもり時代の精神医学入門―「病的ひきこもり」の社会病理をパストデザインで考える
加藤 隆弘
1
1北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室
pp.384-390
発行日 2025年6月5日
Published Date 2025/6/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51030384
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はじめに
「フューチャー・デザイン(Future Design)」とは,持続可能な社会を創出するために,存在しない将来世代に代わって「仮想将来世代」の未来人を現世代(いま・ここ)に導入し,新たな社会を創造する枠組みのことです。連載では,フューチャー・デザインを精神医学に導入し,現代の精神医学・精神医療における諸問題・課題について読者の皆さんと考える場を提供しています。いよいよ今回から私が長年専門としてきた「社会的ひきこもり(以下ひきこもり)」にスポットライトを当てて,未来人の視点から現在の課題を見つめ直し,打開策を提案します。まず,今回はこれまで私が取り組んできたひきこもりに関する精神医学化運動を紹介し,私のラボ(「ひきこもり研究ラボ」)で開発してきたいくつかの評価ツールを紹介します。

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