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はじめに
私の勤務する公立学校共済組合近畿中央病院は,全国を8ブロックにわけ近畿地区を担当する教職員の職域病院である。メンタルヘルスに関しては,精神科外来受診と,職域メンタルヘルスサービス事業とに分かれて,一次予防(未然防止:メンタルヘルス相談,講演など),二次予防(早期発見,対処:メンタルヘルス相談,精神科外来受診),三次予防(職場復帰支援:リワーク支援プログラムなど)まで多様なサービスを提供している。多面的・多角的に事業を展開し,総合的に教職員をサポートしたいと考えている。
私が教職員の職域病院公立学校共済組合近畿中央病院に勤務しはじめて,20年以上が過ぎた。職域病院の近畿で,「教員のメンタルヘルス対策」を始めるので心理士が必要とのことであった。私は8病院初めての心理士であり,非常勤からのスタートで仕事内容も給与体系もない。自分で仕事を見つけて,つくっていくしかないプレッシャーの中,一般の総合病院から近畿中央病院に行ってみると,診療で忙しい部長に代わり,中心となって職域事業を立ち上げなければならない状況だった。部長と苦慮し,当時の院長の尽力で兵庫県教育委員会との関係が繋がり,その委託を受けて「教員の職場復帰トレーニング(現リワーク支援プログラム)」を立ち上げたのが2002年であった。
手探りの中,系列病院である東京の三楽病院の当時の精神科部長,故中島一憲先生にお世話になった。地理的条件やスタッフなど,近畿の実情に合わせた復職支援プログラムを検討した。教員は,教えることは得意だが,教えられることは嫌いである。当時私はまだ30代で,休業者の中心は50代であり,30代の若造に,上から教えられるほど屈辱的なトレーニングはないと思い,休業中の教員たちが自ら感じ考え,気持ちを話し合える場を提供しようと決めた。集団精神療法を学びに行き,私の技量が伴う何年かは個人療法×10のようであり,真摯に関わったが,初期には「俺ら,モルモットやろ?」という手厳しい参加者もおられた。内心泣きそうになりながらも,参加者が感じたことを率直に表現できること自体,プログラムの目的そのものだと思い関わり続けた。
現在(2024年)までの22年間で765名がプログラムを修了し,復帰率は約78%である。その後の勤続率は約7割である。現在は事業を拡大し心理士常勤5名,非常勤5名の大所帯となり,教職員のメンタルヘルス対策に取り組んでいる。

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