連載 こころのフューチャー・デザイン―「未来人」からみた現代の精神医学
パストデザインで「心脳問題」を再考する―精神疾患は心の病気か? 脳の病気か?
加藤 隆弘
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1九州大学大学院医学研究院精神病態医学
pp.776-780
発行日 2024年10月5日
Published Date 2024/10/5
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はじめに
「フューチャー・デザイン(Future Design)」とは,持続可能社会を構築するために,存在しない将来世代に代わって「仮想将来世代」の未来人を現世代に導入し,新たな社会を創造する枠組みのことです。連載では,現代の精神医学における諸問題・課題についてフューチャー・デザインの方法を導入して考えていきます。フューチャー・デザインを精神医学・精神医療の世界に取り入れることで,七世代先の将来世代のための精神医学・精神医療をいまから築くことができるはずです。第3回では,フューチャー・デザイン実践の礎となる「パストデザイン」という方法を紹介しました。第4回では,フューチャー・デザインの醍醐味である「未来人になる」方法を体験的に学んでもらうために,読者のみなさんを2174年に通じるタイムマシーンに乗せて未来世代人(未来人)になってもらいました。そして,再び2024年の現代に戻り,現代の発達障害ブームについて考えてもらうという誌面ワークショップを行いました。前回,未来人になったみなさん,2024年に生きている私たち現代人にどのような言葉を投げ掛けましたか。発達障害に対する先入観や偏見が少しでも変わっていればと期待しております。
第5回では,パストデザインを導入して,精神医学・精神医療における長年の課題でありながら見て見ぬふりをされがちな心脳問題を取り上げ,現代精神医療のメインストリームである薬物療法を代表とする生物学的精神医学の発展の歴史を読者のみなさんと振り返って考えてみましょう。

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