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I この人は何派だろうか?
最初から本題とは無関係な話題になって恐縮であるが,私がまだ30代だったころ,使っていたPCの写真をお見せする。これから私は何派に所属するかを考えていただきたい。1998年2月に撮った写真である。
まず,Mac派ではないことが分かるだろう。Windows派ということになるが,ではメーカーは?キーボードにはGateway 2000のロゴがある。モニターはSony。では本体は?
私が生まれて初めて購入したパソコンはPC-9801VM21だった。1987年のことだ。3年後にPC-9801RA21に買い替えた。CPUは80386DX20MHz。Windows/386を使って一太郎,LOTUS123などのDOSアプリをマルチタスクで動かすようになった。1992年に個人輸入でGateway 2000 4DX2-66Vを購入した。CPUはi486DX2 66Mhz,メモリは16メガ,HDDは300メガ,ビデオカードはMach32。英語の勉強も兼ねて購読していたZiff DavisのPC Magの広告を見ながら,ZenithにするかGatewayにするかを悩んでいたのも楽しかった。その後,CPUとマザーボードを定期的に交換するPC廃人のサイクルに入っていった。クリスタルを交換してオーバークロックする,SCSIのHDDを4台組み合わせてRAID化するとか,一通りのことはした。上京するたびに秋葉原巡りをするのが楽しみだった。
読者もMac派とWindows派のどちらかに分類できるだろう。私の場合はMacを自分で買うことはなかった。私はMac派のMac自慢が嫌だったのもある(私のスマホはiPhoneなので,Apple嫌いというわけではない)。自作派にはブランド自慢は不可能である(ジャンクPCを再生させる自慢なら任せて欲しい)。もしMacも自作できるなら,Mac派になっていたかもしれない(1995年にオーディオ機器メーカーであるパイオニアがMac互換機を出したときはわくわくしたが,すぐ消えてしまった。Steve Jobsのせいだ)。だから,私は最初,NEC PC-9801派だったが,途中から自作派=ノーブランド派に転向したわけだ。自分自身の人生を振り返ってみるとPCだけでなく,車(国産大衆車ばかり買っている)や日用品,食品までノーブランドで十分という選択をしている。ブランドに余計な金を払うのは無駄というのが私のフィロソフィーかもしれない(そのせいで,ジェネリック医薬品を嫌がり,先発品を希望する患者と時々衝突している)。では,私は心理療法の領域でもノーブランド派なのか?
心理療法において学派というとき,ブランド以外に所属意識の意味合いがある。この意味では私自身は確かに認知行動療法学派に身を置いている。所属学会は行動科学学会(旧異常行動研究会),認知・行動療法学会(旧行動療法学会,JABCT),動機づけ面接学会(JAMI),MINT(Motivational Interviewing Network of Trainers),ABCT(Association for Behavioral and Cognitive Therapies),行動分析学会である。最初の4つは役員や大会長などの役割を仰せつかったことがある。このなかの2つは動機づけ面接関連だが,これも広い意味で認知行動療法(以下,CBT)だろう。

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