特集 行動科学—その健康問題に果たす役割
行動医学—なぜ必要か
池見 酉次郎
1,2
Yujiro IKEMI
1,2
1心身医学研究所
2九州大学
pp.672-674
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900433
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■行動医学とは
行動医学は,臨床的に有用な行動療法の進出が引き金となって,過去10数年の間に,米国を中心に展開したものである.米国の行動医学協会の定義によれば,「行動医学とは,行動科学と身体医学の統合をはかる学際的分野である.その中には,人間の健康と疾病に関係のあるすべての事実が包括されており,そこから得られた知識と技術を,疾病の予防・診断・治療・リハビリに応用するもの」とされている.ここで注意すべきことは,わが国で用いられる行動医学という表現は,身体医学と「人間の行動に関する諸科学を包括した行動科学の理論と技法の中で,医学と関係のあるもの」とを統合した広義の行動医学(behavioral medicine)と,身体医学に行動療法だけを統合した狭義の行動医学(behavior medicine)とが含まれているという事実である.
米国内でも,行動医学に対する解釈は分かれており,エール大学にYale Behavioral Medicine Clinicを主宰したH. Leigh教授は,上記の広義の行動医学に即した診療を行っていた.
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