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聾学校自立活動の授業における生徒の「困りごと」の認知プロセス―対話的自己論を援用した分析から
西垣 正展
1
1立命館大学大学院人間科学研究科
キーワード:
聴覚障害
,
自立活動
,
困りごとの認知
,
対話的自己論
,
Iポジション
Keyword:
deaf
,
self-reliance activities
,
hardship recognition
,
dialogical self-theory
,
I-position
pp.599-611
発行日 2024年9月10日
Published Date 2024/9/10
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本研究では,聴覚障害生徒が体験した困りごとについてどのように認知したかを明らかにすることを目的に,問題と思われる出来事に向き合う態度や視点をもつという当事者研究を援用した自立活動の授業を行い,対話的自己論を援用して検討した。困りごとをめぐる出来事の語りや対話の場面で,対象生徒の自己世界ではどのような自己内対話が起こっているかについて,対象生徒のIポジションの移動や関係から質的に分析した。その結果,対象生徒の主体内に複数の「私」が外部ポジションと内部ポジションを行き来する様相が表出された。表出された様相をストーリーで見ると,当初は個人的な感情や不満が現れていたが,他生徒や授業者からの指摘や対話による協働活動を通して,困りごとの状況やその背景に対する視点の整理,言語化が可能になるといった行動の変容が見られ,多様な「私」の揺れ動きを通して困りごとに向き合っていく対象生徒の自己様相が示唆された。

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