特集 脳血管障害
治療 再発・死亡抑制のための治療選択と患者支援
脳梗塞急性期の抗凝固薬の使い方
阿部 桜子
1
,
古賀 政利
1
1国立循環器病研究センター脳血管内科
キーワード:
▶急性期の抗凝固薬の導入においては,その時点で最も可能性の高い診断病型に従い薬物を選択する必要がある.
,
▶NVAFを原因とする心原性脳塞栓症においてはDOACが主に使用される.
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▶DOACが禁忌となる患者においてはワルファリンの血中濃度が安定するまでヘパリンを点滴投与することがあるが,明確なエビデンスは示されていない.
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▶発症48時間以内のラクナ梗塞以外の脳血栓症急性期にはアルガトロバンを使用することがある.
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▶ELAN試験では梗塞巣の大きさにより早期に抗凝固薬を導入しても症候性頭蓋内出血が増加しなかったことから,早期からDOACを導入することの安全性が証明された.
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▶発症4日以内の早期DOAC開始は,発症5日以降に開始した群と比較して,脳梗塞再発,脳出血または分類不能の脳卒中の複合エンドポイントを3割減少させた.
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▶ELDERCARE-AF試験では80歳以上の日本の高齢者においてエドキサバン15mg/日を導入し,その予防効果と安全性が示された.
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▶出血リスクの評価にはHAS-BLEDスコアが有用であり,3点以上の高リスク患者にはリスクベネフィットを慎重に考慮した抗凝固薬の導入が求められる.
Keyword:
▶急性期の抗凝固薬の導入においては,その時点で最も可能性の高い診断病型に従い薬物を選択する必要がある.
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▶NVAFを原因とする心原性脳塞栓症においてはDOACが主に使用される.
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▶DOACが禁忌となる患者においてはワルファリンの血中濃度が安定するまでヘパリンを点滴投与することがあるが,明確なエビデンスは示されていない.
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▶発症48時間以内のラクナ梗塞以外の脳血栓症急性期にはアルガトロバンを使用することがある.
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▶ELAN試験では梗塞巣の大きさにより早期に抗凝固薬を導入しても症候性頭蓋内出血が増加しなかったことから,早期からDOACを導入することの安全性が証明された.
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▶発症4日以内の早期DOAC開始は,発症5日以降に開始した群と比較して,脳梗塞再発,脳出血または分類不能の脳卒中の複合エンドポイントを3割減少させた.
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▶ELDERCARE-AF試験では80歳以上の日本の高齢者においてエドキサバン15mg/日を導入し,その予防効果と安全性が示された.
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▶出血リスクの評価にはHAS-BLEDスコアが有用であり,3点以上の高リスク患者にはリスクベネフィットを慎重に考慮した抗凝固薬の導入が求められる.
pp.92-96
発行日 2026年1月1日
Published Date 2026/1/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.43.01_019
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抗凝固薬の適応
抗凝固薬は主に非弁膜症性心房細動non-valvular atrial fibrillation(NVAF)を原因とする心原性脳塞栓症において使用される.わが国でよく用いられるのはリバーロキサバン(イグザレルト®錠),アピキサバン(エリキュース®錠),エドキサバン(リクシアナ®錠)を含む直接作用型経口抗凝固薬direct oral anticoagulant(DOAC)とワルファリン(ワーファリン®錠)である.ワルファリンは血中濃度が上昇するまでに時間を要するため,急性期の導入には不向きである.内服薬には他に直接トロンビン阻害薬であるダビガトラン(プラザキサ®カプセル)があり,ワルファリンに次いで1980年代に発見された.いずれも出血リスクを十分考慮したうえで適応を決定する必要がある.経静脈的に使用される抗凝固薬としてはヘパリンナトリウムと選択的トロンビン阻害薬であるアルガトロバン(ノバスタン®HI注,スロンノン®HI注)がある.ヘパリンに関しては未分画ヘパリンが,ガイドライン上推奨度Cで急性期治療に使用されるにとどまり,低分子ヘパリンはわが国では保険診療上の適応はない1,2).一方,アルガトロバンは発症48時間以内の非心原性・非ラクナ梗塞に対して使用することを考慮してもよい(推奨度C)とされている.したがって,急性期の抗凝固療法はしっかりとその時点で最も可能性の高い病型診断に従い,適応を判断する必要がある.

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