プライマリ・ケアのリスクマネジメント[6]
抗凝固薬中止後の脳梗塞
長野 展久
1
1東京海上日動メディカルサービス/東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科司法医学
pp.146-150
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100061
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高齢患者の増加に伴い,血栓塞栓症のリスクが高まっています.そしてひとたび脳梗塞,心筋梗塞,肺梗塞,閉塞性動脈硬化症などを発症すると,再発防止のために抗凝固薬,抗血小板薬などを投与する機会が増えてきました.
その一方で,抗凝固薬や抗血小板薬を内服中に,癌をはじめとした他の疾患がみつかることもあり,診断や治療目的で侵襲的な医療行為(たとえば,血管撮影,消化器内視鏡検査,気管支鏡検査,各種生検など)が必要となる場面も数多くあると思います.ところが,抗凝固薬や抗血小板薬を服用したままでこれらの処置を行うと,当然のことながら処置後の出血が心配されるため,あらかじめ休薬の指示を出すのが一般的と思われます.
今回は,ワーファリン(R)内服中に前立腺癌が疑われた症例の前立腺生検後に,不幸にも脳梗塞を発症して寝たきり状態となった症例を呈示し,侵襲的な医療行為に関連した抗凝固薬の取り扱いについて考察してみたいと思います.
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