特集 がん検診とリスク層別化検診の課題
セミナー② リスク層別化検診の課題
有効ながん検診の普及と実装
金田 義弘
1
,
島津 太一
2
1国立がん研究センターがん対策研究所検診研究部
2国立がん研究センターがん対策研究所行動科学研究部
キーワード:
▶実装科学はエビデンスとプラクティスのギャップを埋めるための学問分野である.
,
▶CFIRにより実装の阻害・促進要因を多面的に把握できる.
,
▶実装戦略はERICプロジェクトにより73種に分類され,現場での実装の阻害・促進要因に応じて選択される.
,
▶SCOREプロジェクトは大腸がん検診における実装科学研究の好事例である.
,
▶SCOREプロジェクトではFIT郵送と患者ナビゲーションを中央集約型の支援で行い,さらに実装戦略を加えることにより,大腸がん検診受診率,精検受診率の向上を目指している.
,
▶実装科学の視点は,がん検診の推進に資する有望な手がかりとなる.
Keyword:
▶実装科学はエビデンスとプラクティスのギャップを埋めるための学問分野である.
,
▶CFIRにより実装の阻害・促進要因を多面的に把握できる.
,
▶実装戦略はERICプロジェクトにより73種に分類され,現場での実装の阻害・促進要因に応じて選択される.
,
▶SCOREプロジェクトは大腸がん検診における実装科学研究の好事例である.
,
▶SCOREプロジェクトではFIT郵送と患者ナビゲーションを中央集約型の支援で行い,さらに実装戦略を加えることにより,大腸がん検診受診率,精検受診率の向上を目指している.
,
▶実装科学の視点は,がん検診の推進に資する有望な手がかりとなる.
pp.1422-1425
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.09_023
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
日本では有効性が確立したがん検診が推奨されている.このような検診の実施は死亡率の低下に寄与し,個人のみならず国民全体に利益をもたらす.しかし,諸外国と比較して日本の検診受診率・精検受診率は依然として低く,推奨と実際の行動との間に乖離が存在する.このようなエビデンスとプラクティスのギャップを埋める学問として実装科学(Implementation Science)が注目されている.実装科学の方法論を取り入れた研究を行うことで,がん検診が保健医療の現場に実装され,受診率の向上や,その地域格差の是正につながることが期待されている.本稿では実装科学の概略と,研究と現場の橋渡しを目指す最新の実装研究の事例を紹介する.

Copyright © 2025 Bunkodo Co.,Ltd. All Rights Reserved.