今月の臨床 婦人科がん検診
婦人科がん検診の有効性
牧野 浩充
1
,
八重樫 伸生
2
1東北労災病院産婦人科
2東北大学医学部産婦人科学講座
pp.21-25
発行日 2003年1月10日
Published Date 2003/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101094
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はじめに
がん検診の目的は,がんの早期発見や早期治療によりがんの進展を予防し,がん死亡率を低下させることにある.がん検診が集団で組織的にかつ公的に行われるようになった現在,それが社会的,経済的に及ぼす影響は大きく,その実施においてはがん検診の有効性の評価が急務となってきた.
諸外国では既に1970年代から,まずがん検診の評価の方法,次いでその有効性の評価についての検討が始められた.1980年代になると,子宮頸癌検診の有効性の評価に関する報告がいくつか見られるようになった.
1990年代には,わが国でもがん検診の有効性を評価しようとする取り組みが始まった.特に,1991年(平成3年)の第92回日本医学会シンポジウムでは,「癌集団検診の再評価」がテーマとして取り上げられた1).その後,1996年(平成8年)には,がん検診の有効性評価に関する研究班が組織され,1998年(平成10年)には「がん検診の有効性等に関する情報提供のための手引」2)(以下,平成10年報告書)という報告書が提出された.これは国内外の文献を詳細に検討し,個々のがん検診に関する現状での結論と勧告をまとめたものである.その後,さらに新たな知見を加え,2001年(平成13年)には「新たながん検診手法の有効性の評価」3)(以下,平成13年報告書)としての報告書が提出された.いずれもわが国の今後のがん検診の指針となるものである.
本稿では,これらの報告書の内容にわれわれの最近の研究成果を交えながら,婦人科がん検診の有効性について概説する.
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