特集 上部消化管疾患
治療 実地診療に役立つ治療のマネジメント
胃上皮下病変に対する内視鏡的全層切除
七條 智聖
1
,
上堂 文也
1
1大阪国際がんセンター消化管内科
キーワード:
胃上皮下病変に対する内視鏡的全層切除
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▶胃上皮下病変(切除対象はGIST)に対して腹腔鏡を用いずに経口消化器内視鏡のみで切除する治療は2000年代より始められ,その件数は増加傾向にある.
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▶意図的に胃壁を穿孔させて全層に切除した後に同部を縫縮する,内視鏡的全層切除術(EFTR)が内視鏡治療の柱である.
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▶2025年1月現在,①11~30mm,②内腔発育型,③潰瘍形成を認めない胃上皮下病変(組織でGISTまたは臨床的にGIST疑い)に対する内視鏡的胃局所切除術が先進医療として実施可能である.
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▶治療適応については外科医も含めたキャンサーボードで決定する.
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▶外科医バックアップのもと,全身麻酔下に内視鏡治療を行う.
Keyword:
胃上皮下病変に対する内視鏡的全層切除
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▶胃上皮下病変(切除対象はGIST)に対して腹腔鏡を用いずに経口消化器内視鏡のみで切除する治療は2000年代より始められ,その件数は増加傾向にある.
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▶意図的に胃壁を穿孔させて全層に切除した後に同部を縫縮する,内視鏡的全層切除術(EFTR)が内視鏡治療の柱である.
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▶2025年1月現在,①11~30mm,②内腔発育型,③潰瘍形成を認めない胃上皮下病変(組織でGISTまたは臨床的にGIST疑い)に対する内視鏡的胃局所切除術が先進医療として実施可能である.
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▶治療適応については外科医も含めたキャンサーボードで決定する.
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▶外科医バックアップのもと,全身麻酔下に内視鏡治療を行う.
pp.1095-1099
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.07_025
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胃上皮下病変に対する手術の現状と課題
胃の間葉系腫瘍(mesenchymal tumor)には筋原性腫瘍[消化管間質腫瘍gastrointestinal stromal tumor(GIST),平滑筋腫,平滑筋肉腫],神経原性腫瘍(神経鞘腫),血管原性腫瘍(血管腫,グロームス腫瘍,血管肉腫,Kaposi肉腫),脂肪腫,脂肪肉腫などがあり,粘膜下に存在する腫瘍を形成するため粘膜下腫瘍submucosal tumor(SMT)と呼称されてきた.近年では上皮性腫瘍である神経内分泌腫瘍や血液系腫瘍の悪性リンパ腫も非腫瘍上皮に覆われたSMTに類似する形態を呈するため,それらを含めた胃上皮下病変subepithelial lesion(SEL)という名称が一般的となっている.胃SELのうちGISTは潜在的な悪性腫瘍で,本質的に増大する性質を持ち,あるものは時に転移し致命的となる.そのため組織学的にGISTと診断された胃SELは手術適応である.またSELの組織診断は時に困難なため,5cmを超えるもの,臨床的に有症状のもの,無症状でも2cm以上で内視鏡や超音波内視鏡(EUS),CT検査で悪性所見(潰瘍形成,辺縁不整,増大傾向,内部不均一)を認めるものは手術適応となる.また,2cm未満でも悪性所見のあるもの,2~5cmであれば悪性所見がなくても相対的手術適応となる(GIST診療ガイドライン 2022年改訂 第4版).

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