特集 上部消化管疾患
治療 実地診療に役立つ治療のマネジメント
非静脈瘤性上部消化管出血に対する内視鏡治療の実際
尾形 洋平
1
,
八田 和久
1
1東北大学病院消化器内科
キーワード:
非静脈瘤性上部消化管出血に対する内視鏡治療の実際
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▶非静脈瘤性上部消化管出血は,胃十二指腸潰瘍からの出血のほか,血管性病変,腫瘍が原因となる.
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▶既往や全身状態・栄養状態が悪い症例では死亡率も高くなり,特に注意が必要である.
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▶処置の際には出血部位と原因の同定が必須であるが,ビスコクリア®によるゲル充填下での観察が有用である.
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▶純エタノールはピンポイントでの局注が必要なのに対し,HSEは出血点がはっきりしない場合にも使用可能である.
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▶高周波止血鉗子は汎用性が高い一方,APCはGAVEなどの表層性の血管からの出血に有効である.
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▶穿孔や瘻孔部閉鎖目的に開発されたOTSC®を用いた,止血の有用性が報告されている.
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▶新規の散布剤である自己組織化ペプチド溶液ピュアスタット®は漏出性の出血に有効である.
Keyword:
非静脈瘤性上部消化管出血に対する内視鏡治療の実際
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▶非静脈瘤性上部消化管出血は,胃十二指腸潰瘍からの出血のほか,血管性病変,腫瘍が原因となる.
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▶既往や全身状態・栄養状態が悪い症例では死亡率も高くなり,特に注意が必要である.
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▶処置の際には出血部位と原因の同定が必須であるが,ビスコクリア®によるゲル充填下での観察が有用である.
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▶純エタノールはピンポイントでの局注が必要なのに対し,HSEは出血点がはっきりしない場合にも使用可能である.
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▶高周波止血鉗子は汎用性が高い一方,APCはGAVEなどの表層性の血管からの出血に有効である.
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▶穿孔や瘻孔部閉鎖目的に開発されたOTSC®を用いた,止血の有用性が報告されている.
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▶新規の散布剤である自己組織化ペプチド溶液ピュアスタット®は漏出性の出血に有効である.
pp.1090-1094
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.07_024
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はじめに
非静脈瘤性上部消化管出血の多くは胃十二指腸潰瘍からの出血であるが,他に胃前庭部毛細血管拡張症 gastric antral vascular ectasia(GAVE)に代表されるような血管性病変からの出血,腫瘍などがその原因となりうる(図1).近年は高齢化に伴い,抗血栓薬を内服している患者も多いが,特に既往や全身状態,栄養状態が悪い場合には死亡率も高くなり,こうした患者においては特に注意が必要である1).

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