特集 上部消化管疾患
治療 実地診療に役立つ治療のマネジメント
減量・代謝改善手術(MBS)の現状と今後の展望
春田 英律
1
,
千葉 小夜
1
1四谷メディカルキューブ外科・内視鏡外科
キーワード:
減量・代謝改善手術(MBS)の現状と今後の展望
,
▶MBSは,肥満関連疾患の改善に有効な治療法であり,高度肥満症患者における治療選択肢の一つとして確立されつつある.
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▶日本では2014年に腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(SG),2024年に腹腔鏡下スリーブ状胃切除術および十二指腸空腸バイパス術(SG-DJB)が保険適用となり,より多くの患者が手術の恩恵を受けられるようになった.
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▶MBSの効果は単なる摂食制限にとどまらず,ホルモン分泌や腸内細菌叢の変化を通じて代謝を改善することが明らかになっている.
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▶GLP-1受容体作動薬の登場により,MBS後の体重減少不良やリバウンドに対する補助療法としての可能性が注目されている.
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▶肥満に対するスティグマを解消し,MBSを適切なタイミングで導入することで,肥満関連合併症の進行を防ぐことが重要である.
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▶MBSの適応拡大や再手術の保険適用,適切な患者選定など,今後の治療戦略の最適化が求められる.
Keyword:
減量・代謝改善手術(MBS)の現状と今後の展望
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▶MBSは,肥満関連疾患の改善に有効な治療法であり,高度肥満症患者における治療選択肢の一つとして確立されつつある.
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▶日本では2014年に腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(SG),2024年に腹腔鏡下スリーブ状胃切除術および十二指腸空腸バイパス術(SG-DJB)が保険適用となり,より多くの患者が手術の恩恵を受けられるようになった.
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▶MBSの効果は単なる摂食制限にとどまらず,ホルモン分泌や腸内細菌叢の変化を通じて代謝を改善することが明らかになっている.
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▶GLP-1受容体作動薬の登場により,MBS後の体重減少不良やリバウンドに対する補助療法としての可能性が注目されている.
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▶肥満に対するスティグマを解消し,MBSを適切なタイミングで導入することで,肥満関連合併症の進行を防ぐことが重要である.
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▶MBSの適応拡大や再手術の保険適用,適切な患者選定など,今後の治療戦略の最適化が求められる.
pp.1080-1084
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.07_022
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はじめに
肥満は糖尿病,高血圧症,脂質異常症などの生活習慣病の主要な原因であり,患者の健康寿命を短縮する要因となる.近年,食生活の欧米化や運動不足,ストレスの増加などが相まって,肥満人口は世界的に増加傾向にある.特にBMI 35kg/m2以上の高度肥満症では,単なる生活習慣の改善や薬物療法だけでは十分な効果が得られず,より積極的な介入が必要とされる.

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