特集 食品安全の最前線―食品衛生の観点から―
3.わが国の腸管出血性大腸菌による広域発生事例とその原因食品
森田 幸雄
1
1東京家政大学家政学部栄養学科教授
pp.17-22
発行日 2019年11月30日
Published Date 2019/11/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.03.91_0017-0022
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腸管出血性大腸菌(以下,「EHEC」と略)は,その感染性の強さから,広域的に発生すること,死亡する患者が発生することにより,食品衛生上きわめて重要な食中毒原因物質である.和風キムチ(2001年)1),ユッケ(2011年)2),白菜きりづけ(2012年)3),キュウリのゆかり和え(2016年)4),同一系列店の惣菜店(埼玉県はポテトサラダと推定,前橋市は不明:2017年)5),サンチュ(2018年)6),大手ハンバーガーチェーン店(2018年)7)等をはじめとして,多くの広域発生事例が報告されている.このうちユッケ,白菜きりづけ,キュウリのゆかり和え,同一系列店の惣菜店のポテトサラダの事例は死亡事例である.1996年の日本全国におよぶEHEC食中毒・感染症の発生以降,わが国の患者から分離されるEHECに関するサーベイランスが確立され,広域散発事例に対処している.そこで,EHECのサーベイランス,牛の保菌状況,近年の野菜を原因とした食中毒事例について,その概要を報告する.
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