特集 食品安全の最前線―感染症の観点から―
3.腸管出血性大腸菌~分子疫学解析を利用した病原体サーベイランス
泉谷 秀昌
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1国立感染症研究所細菌第一部
pp.23-28
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.03.02_0023-0028
- 文献概要
腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli:EHEC)はベロ毒素(Vero toxin:VT)を産生する,またはVT遺伝子を保有する大腸菌である.EHEC感染症は感染症法において3類感染症に位置づけられており,有症無症にかかわらず感染者の報告が義務づけられている.2017年の感染者は3,904名であり,うち有症者は2,606名,無症状保菌者は1,298名であった.EHECは食品衛生法において,ただちに報告する必要のある食中毒の病因物質のひとつでもあり,2017年は17件の食中毒が発生し,患者168名,死者1名であった1).本稿では分子疫学解析を用いたEHEC病原体サーベイランスについて,わが国の状況を概説する.
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