特集 HACCPと食中毒対策の最前線
2.腸管出血性大腸菌による食中毒・感染症―発見から35年,現状と課題―
甲斐 明美
1
1公益社団法人日本食品衛生協会食品衛生研究所
pp.11-19
発行日 2018年4月10日
Published Date 2018/4/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.02.01_0011-0019
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腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli:EHEC)感染症・食中毒は,ベロ(志賀)毒素(Vero[Shiga]-toxin:VT[Stx])産生性の大腸菌によって惹起される疾病で,潜伏期間は平均2~5日,症状は激しい腹痛(疼痛)と下痢,血便を呈することで知られている.特に,HUS(溶血性尿毒症症候群)や脳炎を発症した場合には,死に至るリスクもある.本菌の特徴のひとつは,その感染菌量(感染が成立する菌数)1)が数百(10²オーダー)個と非常に少ない一方,無症状病原体保有者2)も認められることである.本稿では,腸管出血性大腸菌の発見後の35年間の経過,そしてわが国での現状と課題について,発生状況を中心にまとめてみたい.
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