Land-Mark papers in Oncology~エポックメイカーとなった論文~
「診断」TAILORx
南 博信
1
1神戸大学大学院医学研究科内科学講座腫瘍・血液内科学教授
pp.63-64
発行日 2019年3月30日
Published Date 2019/3/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.05.01_0063-0064
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ホルモン受容体,腋窩リンパ節転移の有無,閉経状態にかかわらず,乳癌の術後補助療法において化学療法は再発リスクを低減するが,ホルモン受容体陽性,腋窩リンパ節転移陰性,HER2陰性の乳癌ではその効果は小さい。乳癌の多くを占めるこの集団で,効果は小さいにもかかわらず副作用が強い化学療法が用いられてきた。この集団のなかでも再発リスクおよび化学療法の効果が特に小さい集団を特定できれば,再発リスクを上げずに化学療法を省略することができる。そのための方法として,遺伝子発現プロファイルを用いた診断方法がいくつか開発され,その1つにOncotype DXがある。過去の大規模臨床試験のデータからOncotype DXを用いることにより再発リスクおよび化学療法の効果が小さい集団を特定できることが示されてきた(論文1-5)。乳癌の術後補助療法において前向きにOncotype DXを評価するTAILORx試験が行われ,結果の一部が過去にも報告されていたが(論文6),今回,待ち望まれていた比較試験の結果が2018年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表され(論文7),同日のN Engl J Medに掲載された(論文8)。
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