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1.びまん性バセドウ病,橋本病,単純性甲状腺腫,まれにびまん性硬化型乳頭癌がある。バセドウ病は甲状腺機能亢進症(FT3,FT4上昇,TSH低下)を呈し,TSHレセプター抗体(TRAb)の高値を示し,甲状腺腫と眼球突出のほかに,甲状腺中毒症状としての頻脈,振戦,発汗,体重減少,いらいら感,下痢,生理不順などを呈する。治療は抗甲状腺薬(チアマゾール,プロピルサイオウラシル),アイソトープ(radioactive iodine:RAI)治療,外科手術がある。橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれ,びまん性甲状腺腫のほか圧痛,寒がり,浮腫,抑鬱,体重増加,便秘などの症状を呈し,閉経前後の女性に好発することから,更年期障害との鑑別を要する。また,体重増加以外にも代謝が低下するため脂質異常症を呈し,橋本病の診断治療以前に脂質異常症治療薬が投与されている場合が少なくない。治療はL-サイロキシン(LT4)の補充であり,外科手術の適応となることはほとんどないが,本疾患は甲状腺腫が硬く,かつ結節性に増殖することもあり,時には癌と鑑別がつかない場合や,甲状腺腫が巨大なための圧迫症状改善目的で手術になることがある。また,橋本病を前駆に甲状腺リンパ腫が発生することがあり,注意を要する。2.結節性結節性には良性と悪性があり,良性は甲状腺濾胞腺腫と腺腫様甲状腺腫(腺腫様結節含む)であり,後者は厳密には腫瘍性病変ではなく過形成病変であるが,圧倒的に症例数が多いことと,病理標本で確認しない限り確定診断はつかめないため,含めて検討している。悪性(頻度,10年生存率)では,乳頭癌(85~90%,95~96%),濾胞癌(5~10%,85~95%),髄様癌(<2%,75%),低分化癌(<1% ?,?),未分化癌(<2%,0%),甲状腺リンパ腫(<2%,67%)がある。乳頭癌と濾胞癌を合わせて分化癌という。
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