臨床医のための乳腺基礎医学
乳癌におけるDNA損傷と修復不全
賴 勇強
1
1聖マリアンナ医科大学大学院医学研究科応用分子腫瘍学
pp.20-24
発行日 2018年2月20日
Published Date 2018/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.04.01_0020-0024
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次世代シーケンサー(next generation sequencer:NGS)による網羅的なゲノム解析が進み,近年ではさまざまな癌においてそのリスクとなる遺伝子変化が判明してきている。乳癌においてもBRCA1/2変異による家族性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer:HBOC)のみならず,NGSによるマルチ遺伝子パネル検査を用いて,生殖細胞系列(germline)変異によって高いリスクを生じる遺伝子の解析が進んでいる。しかし,比較的安価なNGSの普及に伴い,個人レベルでの検査も可能となりつつあり,場合によっては検査結果が個人に不利益をもたらす危険性もあることから,今後,適切な遺伝子カウンセリングの役割がより重要となってくることが予想され,そのためには遺伝子の機能を理解することも重要である。これらのリスク遺伝子の多くはBRCAと同様,DNA損傷修復に関わる遺伝子である。そこで本稿では乳癌の原因となる遺伝子のうち,臨床家にはあまりなじみのないBRCA以外のDNA修復因子に焦点をあてて,その機能について解説する。
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