臨床医のための乳腺基礎医学
DNA修復機序から考えた乳癌の治療戦略
永澤 慧
1
1聖マリアンナ医科大学大学院医学研究科外科学乳腺・内分泌外科学
pp.25-30
発行日 2015年3月31日
Published Date 2015/3/31
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.01.01_0025-0030
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「はじめに」2003年にbasal-like乳癌とBRCA1遺伝子変異の強い因果関係が報告され1),さらに2005年にBRCA機能不全を来している癌に対するPARP阻害薬の合成致死性2)3)が報告されてから約10年が経過した。紆余曲折はあったものの,PARP阻害薬の臨床応用は現実味を帯びてきている。しかし,対象をどう絞り込むのか,治療効果を予測する有効なマーカーがあるのかなど,いまだに確立されていない点が多いのが現状である。一方,この10年間に基礎分野では以前わかっていなかったBRCA1とPARP1/2のより詳細な機能解析が進んでいる。そこで本稿では,①DNA損傷修復の基礎を簡単におさらいしたうえで,②最近注目されているBRCA1機能不全癌のDNA損傷感受性を左右する53BP1とBRCA1の相互関係および,③新しくわかってきたPARPの機能から考えられる合成致死性モデルについて紹介する。
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