よくわかる病理診断報告書
Q13 アポクリン癌について教えてください/Q14 微小浸潤癌について教えてください
森谷 卓也
1
1川崎医科大学病理学教授
pp.25-28
発行日 2018年2月20日
Published Date 2018/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.04.01_0025-0028
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「Q13 アポクリン癌について教えてください」アポクリン細胞は,エクリン細胞とともに汗腺上皮の1つです。通常,腋窩や肛門周囲,外耳道などに存在します。乳腺の発生は汗腺,特にアポクリン汗腺の発生過程と共通性があると考えられています。したがって,乳腺上皮,すなわち乳管上皮や小葉内の腺房上皮は,根本的にアポクリン上皮の性質をある程度備えている可能性が考えられます。乳腺では乳腺症,乳管内乳頭腫をはじめとする種々の良性疾患,および乳癌の一部に,アポクリンの特徴を有する上皮が出現することが知られており,良性疾患ではアポクリン化生,癌はアポクリン癌と称します。「Q14 微小浸潤癌について教えてください」乳癌は非浸潤癌と浸潤癌に分かれ,後者は浸潤開始とともに転移能を獲得すると考えられています。また,癌の浸潤径はステージに影響し,予後予測因子としても重要視されています。このようななか,わずかな間質浸潤を有する乳癌は,微小浸潤癌(microinvasive carcinoma)として分類されています。微小とは,浸潤径が1mmを超えない(1mm以下)ものと定義するのが一般的で,TNM分類ではT1micと表現されます。
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